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コンセプト型シェアハウス、なぜ急増?多様な生活様式の充実を実現 鉄道、ダイエット…

文=昌谷大介/A4studio
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コンセプト型シェアハウス、なぜ急増?多様な生活様式の充実を実現 鉄道、ダイエット…の画像1「Thinkstock」より
 停滞気味の賃貸不動産業界において、シェアハウスビジネスが活況だ。

 シェアハウス業界は2007年ごろと比較して市場規模は約5倍、10年ごろと比較しても物件数や戸数が倍増しているともいわれているが、特に東京はその傾向が顕著。現在、都内だけでおよそ2000軒以上のシェアハウスがあり、実に全国の7割以上を占めているという。それに伴い、当然シェアハウスを運営する企業も急増。日本における黎明期だった00年前後から比較すると、参入企業数は実に20倍以上になっているというデータもあるほどだ。

 そもそもシェアハウスとは、キッチン、リビング、バスルームなどを共有スペースとし、各人には小さめの個室があてがわれるというスタイルがスタンダード。そのエリアの相場に比べて賃料が割安で、敷金、礼金、保証人なども必要ない物件が大半のため、節約志向の高い20~30代の未婚男女に人気を博してきた。

 しかし昨今は、その価値観に変化が出てきているという。ただ経済面のメリットを考えてシェアハウス生活を選ぶのではなく、他者との共同生活というライフスタイルに憧れて入居を決める者が増えてきているというのだ。

 運営側も、立地や設備、サービスにこだわり、魅力的なシェアハウスライフを演出することで稼働率向上を狙うようになってきている。そういった物件は、同エリアの通常の賃貸物件の相場とそれほど賃料が変わらなくとも、オープンと同時に全室が埋まり、常に空室待ちの予約でいっぱいという状況も珍しくないのである。

 12年10月からフジテレビ系列で放映されている、若い男女6名がルームシェアして共同生活を送る様子に迫る恋愛ドキュメンタリー番組『テラスハウス』の人気が、その現象に拍車を掛けているともいわれているが、現在はリーズナブルな賃料を求める人だけでなく、充実した共同生活を求める人が増えているということだろう。

ニッチな市場を狙い、訴求効果を高める

 そして、そんな業界のトレンドの最先端にあるのが、コンセプト型シェアハウスだ。

 コンセプト型とは、入居者のライフスタイルの充実度をより追求するため、あえて物件にニッチなテーマを定め、訴求効果を高めるというビジネスモデルのシェアハウスである。

 シェアハウス業界に精通した安田不動産 営業企画部の笠井信行氏はこう語る。

「企業がコンセプト型のシェアハウスを提案する一番の理由は、プラスアルファの特色やサービスを設けることで他のシェアハウスと差別化が図れるからでしょう。もちろんシェアハウスに入居したいと思っている方々の意識の変化があってのことなのですが、単純に“部屋を借りる”という感覚ではなく、“楽しめるライフスタイルを作る“という感覚が強くなってきているため、需要も増してきているのだと思います」

 中でも笠井氏は「ゴルフ好き」「鉄道模型好き」のためのシェアハウスに注目しているという。

「東京都世田谷区にある『ゴルファーズレジデンス』は、13年11月にオープンした物件で、文字通りゴルフ好きのためのシェアハウスとして話題になっています。総戸数54戸という大型シェアハウスなのですが、当然ウリの設備はゴルフ関連。屋上にはゴルフ打席スペースと防音設備のあるゴルフシミュレータールームがあり、中庭にはアプローチエリアとバンカー、屋内にはパター練習場も備えています。さらにプロゴルファーの出張プライベートレッスンを25分3000円で受けられるという入居者特典もあり、ゴルフ好きにとって至れり尽くせりなのは間違いありません。

 そして東京都江東区には、鉄道模型をコンセプトに13年3月にオープンした『ナインステージ』があります。こちらは共有リビングに広大な常設レイアウトがあり、いつでもNゲージの運転ができるのがウリ。毎月、何かしら鉄道に関するイベントも催しているので、鉄道仲間と交流を深めるのにうってつけです」(同)

各地の続々誕生するユニークなコンセプト型シェアハウス

 シェアハウスが東京に集中しているのは前述した通りだが、コンセプト型シェアハウスがあるのは都内だけではない。

 京都では“漫画家の卵”限定のシェアハウスとして13年8月に「京都第1トキワ荘『妙蓮寺荘』」(男子寮)、10月に「京都第2トキワ荘『紙屋川町荘』」(女子寮)が誕生。漫画関連の講座を受講でき、ほかにもイラスト・デザイン系のアルバイトの斡旋、出版社や編集者の紹介といった漫画家志望者には嬉しい特典が満載だ。

 大阪では12年11月に、“痩せたい女性”限定のダイエットをコンセプトにしたシェアハウス「Beauty&Diet江坂」がオープンしている。こちらは年4回の体重測定で、1kg痩せるごとに家賃が1000円ダウンし、1kg太るごとに家賃が1000円アップするという面白い変動制家賃(上限・下限あり)を採用。共有スペースにはエクササイズルームがあり、入居者にはエステサロンやネイルサロンの割引特典もあるという。

「手前味噌ですが、弊社が運営している『テントメント』というシェアハウスもコンセプト型ですね。高級住宅地である東京の白金高輪にありながら、アウトドア好きのためのシェアハウスとして2012年3月にオープンしております。一番の目玉は設備にボルダリングウォールがあることですね。また、屋上はテントが張れるスペースとなっていますし、都心にいるとは思えない暮らしができると思います」(同)

 このようにコンセプト型シェアハウスは、ターゲットを絞ることで入居者たちの趣味趣向に寄り添い、ライフスタイルの充実を図っているわけだが、もちろん提供する側にもメリットがある。

 例えば、先に挙げた「ゴルファーズレジデンス」は、かつてはNTT社員寮として使用されていたものの、築50年近い建物のため買い手がつかず放置されていた物件。一方、「京都トキワ荘」は、毎年900軒ペースで解体されているという京町屋の再活用プロジェクトの一環で、町屋を改装して提供しているのだそうだ。つまり、遊休不動産の有効利用にも一役買っているのである。

 このような要因から、不動産業界のトレンドとなっているコンセプト型シェアハウス。今後もますます増えていくだろう。
(文=昌谷大介/A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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