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ユニクロ、俺の、眼鏡市場…好調の理由を店舗から考える 価格が成功要因の時代の終わり?

文=新井庸志/株式会社ホワイトナイト代表、マーケティングコンサルタント
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眼鏡市場

「Zoff」(運営元:インターメスティック)や「JINS」(同ジェイアイエヌ)などの格安メガネショップでは、5000円程度でメガネが購入できる時代になり、各社は業績好調だ。今まで数万円していたものが5000円程度で購入できるという価格優位性がプラスに働いている。その二強とは違うかたちで好調な企業が眼鏡市場(同メガネトップ)だ。

 先日、これら3店を含め、メガネショップ視察に行った時に眼鏡市場のホスピタリティに驚いた。ZoffやJINSの安さは魅力であり、商品も悪いわけではない。眼鏡市場は、他の2店と比較すると商品価格は割高だが、店員が顧客のニーズを踏まえて提案してくれる。

 一般的に価格優位性で勝負する企業は、できるだけ短い時間で客対応をし、購入客数や購入点数を増やしていくことが望まれる。眼鏡市場の場合、1人の客にじっくりと対応してくれる。しかも待つことが少ない。価格こそ高いが、そのホスピタリティの高さに満足度は高い。結果として一度の購入だけでなく将来にわたっての顧客を獲得できているのだ。これからますます強くなるのは価格優位性で勝負をするタイプではなく、ホスピタリティを重視して勝負をするタイプだ。すでに顧客が徐々に増えている状況の中で、眼鏡市場の将来性はますます明るい。

マクドナルドが苦戦する理由

 以上みてきたような業績好調企業を尻目に、低迷の続くマクドナルドだが、その理由として重要な要素の1つが「店頭から消えたスマイル」に代表されるスタッフ力の低下だ。以前はキビキビとした態度で笑顔の絶えなかったマクドナルドの店員だが、最近ではめっきり少なくなった。それどころか厨房内で私語をしていたり、お客が帰る姿に気づいても挨拶をしないなど、以前では見られなかったシーンも増えた。

●ホスピタリティは、どんな企業でも身につけられる武器

 これからの日本は少子高齢化が進むのは明らかであり、平均寿命もますます延びるだろう。家族や親戚の人数が少なくなり、隣近所との付き合いが少なくなる一方、個人としての存在感や他人との関わりを求めることも増えるだろう。つまり商品やサービスを売る前に、ひとりの人として大切に扱ってもらっているという満足感をお客に感じてもらうことが、サービス業としてはますます重要になるのだ。

 もちろん、他社にはない製品優位性、価格優位性によって企業の業績が上向くことはある。また広告プロモーションや流通力によって業績が上向くこともある。ただ、これらはすべての企業が取り組めるわけではない。特に中小企業になればなるほど難しくなる。

 しかし、ホスピタリティは大企業だけでなく中小企業も向上させることができる要素であり、今後、企業業績向上の鍵を握る重要な要素となる。ホスピタリティこそ、最も簡単に実践でき、かつ有効なマーケティング戦略といえよう。
(文=新井庸志/株式会社ホワイトナイト代表、マーケティングコンサルタント)

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