ビジネスジャーナル > 企業ニュース > カネ目当てという批判きれいごと  > 2ページ目
NEW
モディファイCEO小川浩「Into The Real vol.3」

「カネ目当ての起業」という批判は“きれいごと”である

文=小川浩/シリアルアントレプレナー
【この記事のキーワード】,

 そして、スタートアップというからにはゴールが必要である。

財宝や美女がゴールになければ、ハリウッドも成立しない

 ゴールとは、ベンチャー用語で言えば出口戦略(イグジット)という。出口戦略とは、誤解を恐れずに言えばIPOかM&A(事業売却)によるキャピタルゲインをどう得るかを考えることだ。もちろん起業の目的はお金だけではないが、冒険家ができるだけ多くの財宝を目指すのは当たり前のことだろう。冒険家はお金が欲しくて冒険するわけではなく、冒険そのものが好きだから冒険するのだが、その先に得られる財宝や美女がなければ、ハリウッドだってドラマをつくれまい。

 そう、アントレプレナーが会社を興し、スタートアップとして資金調達に走り、革新的なサービスをつくって死ぬほど働くのは、ビジネス自体が好きだからであり、野球少年が野球が好きだからこそ練習に打ち込むのと同じだ。そして、野球少年たちが結果的に甲子園やメジャーを目指すのと同じく、ビジネス少年はIPOや海外進出を目指す。甲子園に出てプロになった野球少年が巨額な年俸をもらえるのならば、ビジネス少年も同じ期待をしていいはずだ。

 社会的な感覚として、起業はクールであり、野球やサッカーなどのスポーツに打ち込む者のゴールが、まずはプロになること、そして正当な評価を受けての契約金や年俸を手に入れることであるのと同じように、ビジネスに打ち込む者(アントレプレナー)のゴールが、IPOやM&Aによって十分な資産を獲得することであることを、当たり前のように受け入れてほしい。社会主義的な感覚を持ち続けていれば、欧米企業や中国、韓国などのアジア企業にも勝てないし、追い抜かれ続けるだろう。

きれいごとを口にしていいのは勝者だけ

 勝負に勝ってから、きれいごとを言うべきだ。きれいごとを口にしていいのは勝者だけだ。IPOをすれば、いやでも起業家は企業家へと変身し、雇用を確保し、株主には配当を、国家には税金を納めて、社会貢献を考えていかなければならない。それまではギラギラした野心を胸に、終わりないハードワークに耐える若者を讃えてこそすれ、「拝金主義に陥りがち」のようなたしなめ方をオトナは控えるべきだろう。

 もし本コラムをいまお読みのあなたが、40代以上で、若者の野望を好ましく思わないような傾向があるとしたら、それは間違いなく老害の兆しだ。

小川浩/シリアルアントレプレナー

小川浩/シリアルアントレプレナー

シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。

Facebook:オガワカズヒロ公式ページ

Twitter:@ogawakazuhiro

「カネ目当ての起業」という批判は“きれいごと”であるのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!