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モディファイCEO小川浩「Into The Real vol.3」

「カネ目当ての起業」という批判は“きれいごと”である

文=小川浩/シリアルアントレプレナー
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「カネ目当ての起業」という批判は“きれいごと”であるの画像1モディファイCEO・小川浩氏。

AKB48・板野友美など、ホリプロ所属のトップアイドルやアーティストのオフィシャルサイト、Facebookページを、ソーシャルメディアマーケティングの側面からサポートしているモディファイ。そのCEOである小川浩氏は、SNSの原型となるWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めている。そんな“ヴィジョナリスト”が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。

 ロンドンオリンピックで、日本の女子サッカー代表が予選突破のため、引き分け狙いのゲームプランを採択した際に、それを「フェアプレイでない」となじるマスコミがあったが、日本人にはそういった“きれいごと”を言いたがる僻がある。

 同じく、ベンチャー起業家が「上場を目指す」とか「金持ちになりたい」と言うと、「IPOはゴールではない」「成り上がるだけが人生ではない」などと言いたがる人も多いのだが、大きなお世話だと言っておこう。財宝を求めて大冒険に赴く海賊をクールだと思うのであれば、人生を賭けて勝負をするアントレプレナーを貶める言葉を探すのは、ぜひともやめていただきたいと思う。

 会社を興すにはお金がいる。設立するまでに最低でも20〜30万円必要だし、車のように会社を持っているだけで年間数十万円かかる。自分を含め、従業員を雇えば給料を払わなければならないし、とかく経費がかかるものだ。それでも起業したい、アントレプレナーとして自分の会社をつくって成功を目指したい、という人は少なくない。

 特にネットサービスやGREE、mobage、(iOSの)App Storeなどのモバイルプラットフォーム上には、製品配布や課金システムが整備され、「良いモノをつくれば売れる」環境が整ったことから、小資本で参入しやすく、かつ当たれば大きく成長できる可能性を追えるようになった。さらに、最近では設立直後(設立後1〜3年)の新興企業をスタートアップと呼ぶことが一般認知され、一種の流行語になっていることから、20代の若者を中心に起業ブームが起きている。

最速で成長するためのプラン

「会社を興す」「起業する」という意味では、ラーメン屋を開業しても、弁護士事務所を開設しても同じことだ。しかし、スタートアップという呼び方、あるいはベンチャーという呼び方をするには、幾つかの条件がある。それはまず、参入する市場が、上場企業を輩出できるほどの大きな市場であるかどうか。そして、その市場で最速で成長できるだけのプランがあるかどうか、である。

 逆に言えば、大きく成長するという意志がない起業はベンチャーとはいわないし、スタートアップとはいえないのだ。同時に、「成長する」と言い切るからには、

 「どこまで成長する」
 「成長してどうする」

というプランが必要だし(例:上場を目指す)、どうやって成長するという計画(つまりビジネスプラン)が必須だ。こうした条件が揃って、初めてベンチャー企業といえるし、スタートアップといえるのだ。ノマドワークという言葉のように、一人で食っていけりゃいいや的な独立を、ベンチャーもしくはスタートアップとは口が裂けても言ってほしくない。

小川浩/シリアルアントレプレナー

小川浩/シリアルアントレプレナー

シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。

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