●法のあいまいさを突く事例も
しかし、どこまでが「アイデア」で、どこからが「表現」なのかの線引きはなかなか難しく、ビジネスにおいても、そのグレーなゾーンを突いている事例も多い。
【事例1】投資スクールのテキスト
・加害者:お金の学校(運営元:株式会社新日本情報システム)
・被害者:トレードイノベーション
お金の学校の代表者は、もともと生徒としてトレード社の講座「株の学校123」を受講していた人物だ。お金の学校を立ち上げ、「2年で1億円!片手間副業で毎月300万円 株式投資錬金術」という情報商材を「通常価格50,000円、特別価格29,800円」で販売するに至った。ちなみに、サイト上において、当該価格での提供は「本日より3日間限定とさせてください」と記載されているが、2013年10月以降、ずっと「特別価格」が続いている。
筆者はお金の学校で使用されていたテキストを入手し精査したところ、前出のトレード社の講座のテキスト内容に酷似した部分、もしくは内容をそのまま引用し、数値を入れ替えた箇所が多数存在していた。この場合、法的には「内容に関して既存著作物に依拠して作出された『依拠性』が認められ、利用著作物と既存著作物における表現が類似している点で『類似性』が存在しているものと認知され、著作権侵害が成立する」と考えられる。ちなみにお金の学校は投資助言業者の資格を保持していない(弁護士の見解は後述参照)。
本件についてお金の学校に対し「類似箇所について関係者の許諾は得ているのか」との問い合わせを行ったところ、「自らのオリジナルをつくり、テキストに記載したつもり」との回答を得た。
【事例2】スキンケア商品の通販サイト
・加害者:デオプラスラボ
・被害者:HLJスキンケア
HLJは同社サイト上で体臭防止用のデオドラントクリームを販売し好評を博していたが、デオプラスラボがそれに似たサイト(http://deopluslabo.com/lp/)を立ち上げたのである。色調から構成、表記などがいかにも似ており、同じ会社が出しているように見えるくらいである。デオプラスラボは同サイト上で、「ワキのエステ デオプラスラボ」という商材を「定期コース5,780円」「単品コース7,980円」で販売しているが、内容構成はHLJのサイトの内容をそのまま引用したり、数値や表現を入れ替えたのみの箇所が多数存在したりすることが確認されている。具体的には、次のような箇所である。