有力選手続々輩出、話題のバディスポーツ幼児園、驚異の教育法&経営術 サービスも充実
●Jクラブ初の認可外保育施設も開園
バディが最初に幼児園を開園した32年前、鈴木氏は国に認可申請を出したところ、幼稚園を管轄する文部省(現文部科学省)は「幼児教育は4時間以内にすること。なぜなら小学1年生の授業が4時間以内だから、幼児教育でそれ以上は認められない」として申請を却下。一方、保育園を管轄する厚生省(現厚生労働省)は、「保育園は生活の場や預かる場であって、教育をしてはいけない」として、こちらも却下された。
疑問を抱いた鈴木氏は「どちらの理屈もおかしい。いっそ両省が統合すればいい」と何度も双方に掛け合ったが、役所は聞く耳を持たず、やむなく認可外で始めたという。
そのような経緯でスタートしたバディではあるが、今となっては長年の実績が広く知られるところとなり、有名大学や大手企業に進む卒園生も目立ち、入園希望者は後を絶たない。
鈴木氏が語る「三種の神器」である長時間保育、送迎バス、給食の提供は、競合他社がマネしにくく、特にフルタイムで働く母親に支持されている。
ちなみに月謝は東京では4万円強で、認可外の保育施設としては高くないという理由で入園するケースも多い。現在は首都圏に7カ所、静岡県と福岡県にも展開している。
また、同社は日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)2部の東京ヴェルディ1969の株主でもある。これはヴェルディが経営危機に陥った時に、東京からプロサッカークラブを消滅させないための「リスクマネジメント」と、バディを少年サッカーの強豪に導いてくれたヴェルディユースへの感謝の「地域貢献」の両面から、同クラブの要請に応じて出資した結果だ。一昨年まで鈴木氏は同クラブの会長職も務めた。
そうした関係もあり、来年春には神奈川県川崎市でJクラブ初の認可外保育施設「東京ヴェルディサッカー幼児園」を開設する。施設の目玉は、ヴェルディ普及部がサッカーの指導を行い、幼稚園教諭が保育を担当し、それに前出の三種の神器も備える。運営業務はバディ企画研究所が担う。これが軌道に乗れば、東京ヴェルディの経営の安定にも貢献し、所属するサッカー選手のセカンドキャリアの受け皿としても期待できる。
長年、学校教育が中心だった日本のスポーツ界にとっても、また教育業界にとっても、バディの独創的な手法は注目を集めている。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト)