イオンは10月22日、関連会社のウエルシアホールディングスを子会社化した上で、2015年9月1日をメドにグループ内のドラッグストア4社を経営統合し、同事業を再編すると発表した。ウエルシアをTOB(株式公開買付け)で11月中に子会社化し、イオン子会社のCFSコーポレーション、タキヤ、シミズ薬品の3社をウエルシアの子会社にするかたちで4社の経営を統合する。統合後もウエルシアの東証1部上場は維持し、店名は「ウエルシア」に統一する見通し。4社の売上高単純合計は5142億円であり、業界首位のマツモトキヨシホールディングスの4953億円を抜いてウエルシアは業界6位から首位に急浮上する。
同日記者会見したイオンの岡田元也社長は「グループのドラッグストア事業をウエルシアに一本化し、業界ナンバーワンのドラッグストア確立を目指す」と強調。その上で「ドラッグストア事業を現在の主要4事業(総合スーパー、食品スーパー、ショッピングセンター、金融サービス)に並ぶ5本目の柱に育てる」との意向を示した。
イオンの15年2月期連結売上高は7兆円の見通しだが、主力のスーパー事業が不振。今春打ち出した首都圏スーパー連合や、15年1月に完全子会社にするダイエーの食品スーパー転換などでスーパー事業の不振挽回を図ろうとしているが、今のところ成果は不透明。一方、ドラッグストア業界も出店余地が狭まり、コンビニエンスストアやスーパーとの競争が激化している。
そこでイオンは4社の経営統合で食品、日用品、化粧品、医薬品の調達と価格で競争力を高める構え。また、ウエルシアはイオンのインフラを活用し、食品や日用品の品揃え強化、電子マネー・店頭ATM導入などのサービス拡充を進める考え。
●環境厳しいドラッグストア業界
証券アナリストは「経営統合でドラッグストア業界の首位交代が起きれば、1994年以来約21年ぶりの椿事。さらにイオンとウエルシアの連携強化を受け、業界の再編機運が高まる可能性がある」と期待する。だが、大方の株式市場関係者は「それほどのインパクトはない」と冷ややかな見方を示しており、「5本目の柱を育てるより、不振のスーパー事業立て直しが先決」との厳しい声も聞かれる。