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このため、新日鐵住金は12年4~9月決算で2400億円の特別損失を計上する。安価な中国製品の流入でアジアの鋼材価格が下がり、採算が悪化した製鉄所(広畑と堺と和歌山)を減損処理する。新日鐵の広畑と堺で1200億円、住金の和歌山が1200億円の損失を計上する。4~9月期の最終損失は新日鐵が1550億円以上、住金が1280億円以上、新日鐵住金で3000億円近くになる。
逆風が吹きつける中での船出である。今年度中に新会社の中期計画を策定するが、高炉の再編は避けて通れないだろう。確かに粗鋼の生産量では世界2位になったが、鋼材1トン当たりの連結営業利益では、韓国のポスコに遅れをとっている。
生産規模ではそれほど差がないポスコに比べて採算性が低いのは、新日鐵住金は高炉を持つ製鉄所を国内に8カ所も抱えているからだ。ポスコは2カ所に生産を集約している。今後、国内8カ所のうち、住金側は和歌山製鉄所をどうするかが課題となる。将来は和歌山からの撤退も考えられる。
「設備の集約が進まず、従業員も多い」(鉄鋼担当のアナリスト)ことが採算性を悪くしているのだ。
日産自動車は、タイに生産を全面移管した「マーチ」の鋼材をポスコから買っている。新日鐵のお家芸だった軽量・高強度の高張力鋼板(ハンテン)でも韓国・中国勢の追い上げが急だ。
9月中間決算では、新日鐵住金は神戸製鋼所などの持ち株の評価損を130億円単位で計上する。一方、神戸鋼も新日鐵株の持ち株の評価損を160億円出す。下期も100億円単位の評価損が発生する見通しだ。
新日鐵住金は保有する6.9%の神戸鋼株式を段階的に売却することになるだろう。先ず、日本生命保険(3.8%)以下に持ち株比率を下げる。放出する株は神戸鋼が引き取る方向で調整している。一方、神戸鋼は新日鐵(0.8%)、住金(2.3%)を保有しており、神戸鋼側も持ち株の一部を売却する。
株式の持ち合いの解消により、神戸製鋼所はフリーハンドとなる。神戸鋼が鉄鋼再編の、新たな目玉になるということだ。
(文=編集部)
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