これは、就職活動の早期化による学業への影響を考慮した措置だが、外資系企業や国内企業でも経団連に未加盟の会社は従来通りのスケジュールで採用活動を始めているため、その効果のほどは疑問視されている。実際に就職活動に臨む学生からは、就活のスタート時期が遅れることで第一志望の人気企業に落ちた後、すべり止め候補の企業を受ける期間が短くなるなどの不満が上がっているそうだが、一方で企業の採用担当者からは「新卒採用で試験や面接をすると、有望だなと思う学生の多くが女性になってしまう」といった声が上がっているというのだ。
●筆記試験も面接も、男子は“必死さ”欠如
数多くの企業から新入社員研修の依頼を受けており、近著に『つい考えすぎて損する人のための「バカになって動く」技術』(朝日新聞出版)のある株式会社ヒューマンテック代表・濱田秀彦氏に、現在の就職活動事情を聞いた。
「実際に内定が出るのは男子学生のほうが多いか、もしくは男女半々という企業が多いと思います。ただし、確かに最終面接まで進んでいるのは男子学生3割・女子学生7割というぐらい、女子のほうが多いというのが近年の傾向ではないでしょうか。というのも、女子学生のほうが就職活動に真剣に臨んでいる割合が高く、筆記試験の出来もよく、面接での受け答えもしっかりしているというケースが多いんですよ」(濱田氏)
裏を返せば、男子学生の就活への真剣度が低いということであろうか。
「決して真剣な男子学生が少ないという意味合いではありませんが、相対的に見ると、そういった傾向はあると思います。景気が回復基調にあるためか、近年は新卒募集の絶対数が増えてきているので、男子学生に限って言えば“売り手市場”となりつつあります。ですから、『そこまで本腰入れて就活をしなくても、なんとかなるだろう』と考えている男子学生が多いのではないかと思われます。例えば、その企業への志望動機や、その企業が属する業界の分析といった面接の初歩的質問であっても、自分の考えを述べられずふわふわとした受け答えをする男子学生も少なくないと聞きます。逆にまだ女子学生にとっては“売り手市場”といえるほどではなく依然として厳しい状況なので、女子たちには必死さ(=真剣さ)があり、準備もきちんと行っているのでしょう」(同)