この日の式典で井上慎一最高経営責任者(CEO)は、「(2021年度に)観光客1000万人という沖縄県の目標を前倒しできるよう貢献したい」とあいさつした。
沖縄県を訪れる観光客は増え続けている。14年の観光客数は705万6200人と初めて700万人を超え、過去最高を記録した。対前年比で64万2500人、率にして10%増である。中でも際立っているのが外国人観光客の激増ぶり。14年の外国人客は89万3500人で、前年比34万2700人、62.2%の増加。もちろん過去最高である。
大幅増の原因について、沖縄県の観光政策課は次の3点を挙げている。
(1)円安進行により、日本への旅行に割安感が出た
(2)重点市場(台湾、韓国、中国、香港)からの路線の新規就航と既存路線の増便
(3)クルーズ船の寄港回数増による海からの観光客が増えた
台湾、韓国、中国、香港の4カ国・地域からの観光客が73万5600人と全体の82%を占めており、ピーチの香港線就航の背景には、こうしたアジア客の急増がある。同社は香港線に続き、15年度中にベトナム、タイ、マレーシア、シンガポールなど片道4時間圏内への就航を目指している。観光資源が豊富で、ショッピング施設も充実する沖縄に、アジアからの観光客を呼び込もうというわけだ。
IT・金融の企業の集積が進行中
最近の沖縄経済で見逃せないのがIT・金融の企業の集積が進んだことだ。沖縄県は全国でもまれな人口増加県であり、若年労働者が豊富、税制上の優遇措置、賃貸オフィスビルの坪(3.3平方メートル)当たり単価の低さ(那覇で平均8000円)、暮らしやすい亜熱帯気候(年平均気温23.6度)などの好条件に惹かれ、情報通信関連企業を中心に沖縄に進出する企業は増加の一途だ。沖縄県内に立地した情報通信関連企業は、05年度の103社から13年度には301社にまで増えた。情報サービス、コールセンター、ソフトウェア開発などの業種が多い。雇用創出も約9926人(05年度)から2万4869人(13年度)へと大幅に増加した。