gumiは同期決算が上場初年度の決算になる。当初予想は連結売上高309億7200万円、経常利益12億7700万円だったが、それが今年3月5日になって突如、大幅下方修正し、売上高は265億円、経常損益は6億円の赤字(前期は1億6800万円の赤字)とした。ゲームの課金収入が海外で伸びていないというのが理由だ。
gumiは昨年末の目玉IPO(株式公開)案件として、東証第1部へ直接上場した。上場当日につけた高値(3340円)を一度も上回ることなく、株価はずっと調整を続けてきた。上場時の1000億円規模という高水準の資金調達の根拠となった、業績急拡大というシナリオが狂いつつある。市場関係者の間では國光宏尚社長ら経営陣への不信感が強まっており、國光社長は3月から8月まで6カ月間、役員報酬を全額返上する。
gumiはコロプラなどに続くスマートフォン(スマホ)ゲームの「勝ち組」といわれてきたが、公開価格の想定が不透明だった。1株3300円で決まったが、昨年9月に無料対話アプリのLINEがgumiの第三者割当増資(33億円)を引き受けた際の1株当たりの発行価格は1362円。わずか3カ月で株価が2.4倍に大化けしたことになる。「LINEと提携したことで企業価値が上がった」という主張は説得力に欠けた。上場時は公開価格と同値でスタートし、一時は3340円をつけたが、すぐに3070円まで下げた。上場初日は3165円で終わったが、初日から公開価格を下回り、以降一度も公開価格を上回ったことがない。
●2日連続のストップ安
業績下方修正後の週明け3月9日も、gumiは大量の売り物を浴びストップ安(500円安)の1581円で終わった。LINEに第三者割当増資を行った1362円が指呼の間となった。
gumiにはさらなる悪材料が出た。同社の韓国子会社で「役員が数十億ウォン(数億円)を横領した可能性がある」と韓国メディアが3月19日に報道。同日、東証での取引が終わった後で会社側は「役員ではなく、従業員が数千万円を横領した疑いが強まった」と公表。管理体制の甘さや内部の混乱ぶりが、投資家の失望売りに拍車をかけた。3月20日は49円安の1290円まで下落し、前日(3月19日)つけた上場来安値1282円に接近した。
この時点で、LINEに第三者割当増資で引き受けてもらった価格(1362円)を6%近く下回ったことになる。公開価格3300円の半値以下、60%強安くなる格好となった。