gumiの公募・売り出し株数は1100万株以上だった。時価総額は約945億円に上り、14年に78件あったIPOの中でも際立って大型だったため、株価暴落で損失を被った投資家が多数出た。
●株価暴落の過程で経営幹部が株売却
社長の國光氏の行動を疑問視する見方も多い。3月5日の下方修正発表の翌日になって、1月30日に30億円を無担保で借り入れしていたことを公表した。運転資金に充当するためだったとしているが、借り入れから1カ月以上たってその事実を明らかにしたわけだ。
「IPOを行い潤沢に資金があるはずのgumiが、運転資金を急遽借り入れたことが1月末段階で公表されていれば、個人投資家は早くgumi株式を見切り売りしていたかもしれない。そうしていれば、投資家たちの損失はまだ少なくて済んだ。運転資金を借り入れたということは、年明けからの業績悪化を見通していたことの傍証になる」(市場関係者)
上場時の会見で國光氏は「オンラインゲームで世界一を目指す」と豪語したが、四半期ベースの売り上げは14年5-7月期をピークに減少していた。上場時点で明らかにした業績見通しに確信があったわけではないことを、数字が裏付けている。「超楽観的な業績の見通しを出して株価を高くしようと意図したと酷評されても仕方ない」(アナリスト)との厳しい声も聞かれる。
3月16日付ダイヤモンド・オンライン記事『「上場ゴール」の最悪IPO “gumiショック”の波紋』をはじめとして、メディアでも上場をめぐるgumiの一連の動きに対し、批判が強まっている。暴落の過程で、財務担当責任者ら経営幹部が持ち株を売っていた事実も発覚している。
●他の上場案件に深刻な影響
そのgumi上場の主幹事証券会社を務めた野村證券が再び主幹事を引き受けたAiming(東証マザーズ)が、3月25日に上場する。3月のIPOの目玉銘柄だ。Aiming はMMO(大規模多人数同時接続型)RPG(ロールプレイングゲーム)と呼ばれるスマホ向けオンラインゲームを開発している。『剣と魔法のログレス~いにしえの女神~』『ロードオブナイツ』などが看板タイトルだ。野村が主幹事で、ジャフコ・スーパーV3共有投資事業有限責任組合が筆頭株主である点などが、gumi上場とそっくりであり、幹事証券に三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、マネックス証券が入っているところもgumiと同じ構図だ。想定発行価格は920円。15年12月期予想利益を基準にするとPER(株価収益率)は24.4倍。58億円の資金を吸収する予定で、マザーズ上場案件としては大型だ。gumi(1株3300円)に比べてAimingの想定発行価格は920円と相対的に安いが、「gumiの連日ストップ安、株価急落の影響が出る可能性もある」(市場関係者)。
野村が主幹事証券を務めたジャパンディスプレイ(JDI)は、昨春に公開以来、株価が低迷している。シャープが経営危機に陥り、競合であるJDIの株価は少し持ち直し400円台に戻ったが、公開価格の半値以下でずっと低迷している。「gumiはJDIの二の舞いか」という指摘が早くから出ていたが、その通りになった。