今年4月末から、投資ファンド、タイガー・トラストグループ(以下タイガー)との資本・業務提携を巡り、積極的だった創業者と懐疑的だった現社長派が真っ向から対立。創業者は臨時株主総会を開き、現経営陣を解任すると言い出した。
榊原氏は、エース交易の発行済み株式数の12.22%(3月31日現在)を保有する筆頭株主。同社は「請求の適法性について確認し、総会の開催について検討する」としている。
一時期、エース交易のお家騒動は現経営陣に軍配が上がったかに見えた。9月24日に、持株会社制への移行や商号変更、タイガー関連会社の新株予約権の引き受けを中止したと発表した。タイガーとの提携に関する第三者調査委員会も解散。タイガーとの資本・業務提携は、「方向性を含め改めて検討する」とした。
これで牧田社長派とタイガーのフー会長派の和解が成立したかに見えたが、今度は、創業者が巻き返しに出た。
エース交易は1971年、榊原秀雄氏が創業した商品先物取引の大手。95年に店頭市場(現ジャスダック市場)に株式を公開した。だが、世界的な金融危機を招いたリーマン・ショック後の09年3月期以降、3期連続の赤字。12年同期の営業収益(一般企業の売り上げに相当)は41億4400万円で、純利益は2億5100万円。やっと黒字に転換したところだ。
お家騒動の発端は今年4月27日、租税回避地のケイマン諸島に本社を置く投資ファンド、タイガーと資本・業務提携を結んだことだ。エース交易がタイガーから8億円の資金を調達する一方、タイガーの子会社の株式をほぼ同額で引き受けるという内容だ。同時にタイガーに海外展開のノウハウやシステム開発の面で助けてもらうことになった。
この資本提携に基づき、6月28日に開催された株主総会でタイガーから4名の役員を受け入れ、4人の中からジョン・フー氏が代表取締役会長に就任した。代表取締役社長には生え抜きの牧田栄次氏が就いたが、日本側の役員は3人。エース交易の取締役会はタイガー側が牛耳ることとなった。