ビジネスジャーナル > 企業ニュース > エース交易のお家騒動延長線  > 2ページ目
NEW
外資ハゲタカファンドがアコギな手口で日本企業を乗っ取り!?

裏取引で創業者個人の借金7億を解消…エース交易のお家騒動

【この記事のキーワード】,

 経営を支配したタイガーはハゲタカの本領を発揮する。子会社2社の株式の買い取りは8億円相当のはずだったが、突如、タイガー側は16億円を要求した。2社とも非上場で、1社は赤字、1社は設立2年目。およそ、出資するにふさわしい企業ではない。しかも当初の契約で8億円を出すと言っていたタイガーからの入金は1000万円だけ。このままでは、エース交易が一方的に16億円を吸い取られることになる。牧田社長派は、この要求を拒否した。

 すると、ハゲタカの黒幕である投資ファンド、エボリューション・キャピタルのマイケル・ラーチ代表が来日し、榊原氏と結んだ“裏契約”を暴露した。そこには榊原氏が保有するエース交易株式を時価の3倍、およそ21億円で買い取る代わりに経営権を譲り渡す。エース交易が出すタイガーの子会社の株式の買い取り資金を環流させて、榊原氏の借金返済に充てるスキームが描かれていた。創業者による重大な背信行為である。

 牧田社長は9月6日に決起。4月27日の資本・業務提携は「当社元役職員ら数名による不適切な関与が存在する疑義が生じた」として、タイガー派の4名を「特別利害関係人」として決議に参加させず、日本人役員3名だけで(1)資本・業務提携の解消、(2)4役員への退任の申し入れ、(3)疑義を解明するための第3者委員会の設置――などを議決。その日のうちにこの情報を開示した。

 これに対してタイガーのフー会長派は反撃。翌7日、自分たちだけで取締役会を開き、9月6日の決議はすべて違法だとし、同日付で牧田氏を代表取締役から解職した。

 本社ビルの12階の役員フロアにはタイガーの役員たちが陣取り、11階以下で牧田社長らが作戦会議を開くなどにらみ合いが続いた。

 9月24日、エース交易は日米役員間に誤解があり、「相互に謝罪した」と発表。外国人役員1名が辞任して、会長派と社長派の取締役を同数とする手打ちが成立。お家騒動は、ひとまず休戦となった。

 そもそも、今回の騒動の原因は、創業者の榊原氏の借金問題にあった。相場師でもあった榊原氏は20億円以上の借金を抱え、エース交易からは保有株式と東京・田園調布の邸宅を担保に7億円強を借り入れていた。

 創業者によるこの借金問題を一挙に解決。同時に外資ファンドの手で再生を図る――。これが、当時の(旧)経営陣がタイガーとの裏契約を用いて描いたシナリオだった。榊原氏が保有するエース交易株式をタイガーに時価の3倍で売却して得る21億円と、エース交易がタイガーの関連会社2社に出す8億円(のちに16億円を要求)を還流させて、榊原氏がエース交易から借り入れている分も含め、すべての借金を帳消しするという仕組みだった。借金をチャラにするために、経営権をタイガーに譲渡したわけだ。

 12年6月、社長に就任した牧田氏が、その“裏契約”の存在を知ることになる。創業者と旧経営陣に「特別背任の疑いがある」として戦いを挑んだのである。

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

『ハゲタカ DVD-BOX』 黒幕は会長!? amazon_associate_logo.jpg

裏取引で創業者個人の借金7億を解消…エース交易のお家騒動のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!