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旧村上ファンド復活 投資ファンドとは“何様”なのか 創業家排除、株買い占めで巨額利益

文=編集部
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旧村上ファンド復活 投資ファンドとは“何様”なのか 創業家排除、株買い占めで巨額利益の画像1M&Aコンサルティングが所在していた六本木ヒルズ・森タワー(「Thinkstock」より)
 投資ファンドが息を吹き返してきた。2008年のリーマン・ショック後、投資先に高額配当や経営者の退陣を迫るアクティビスト・ファンド(物言う株主)は失速したが、米国では14年以降、サード・ポイントなどアクティビスト・ファンドが再び勃興。その余波で投資ファンドが元気を取り戻しつつある。

 米大手投資ファンド、ベインキャピタルが実施した、きのこ生産販売大手の雪国まいたけ(東証2部)に対するTOB(株式公開買い付け)は4月7日成立した。雪国まいたけは13日付でベインの子会社になった。ベインは雪国まいたけの発行済み株式総数の78.33%を取得。今後、同社の全株式を取得することを予定しており、同社を100%子会社にする。5月中旬に臨時株主総会を開き、同社は6月中にも東証2部への上場を廃止する。ベインは2月24日、4月6日を期限としてTOBに踏み切った。

 雪国まいたけは、不適切な会計処理の内部告発を受け、創業社長の大平喜信氏が辞任したものの、創業家と新経営陣の対立が続いていた。ベインは当初、創業家側に接触し、TOBによる再建案を提示していたが大平氏が拒否したため、新経営陣に提案して同意を取り付けた。ベインは新経営陣、銀行団と協力してTOBを実施し、創業家を排除した。

 ベインは11年にファミレス大手すかいらーくを買収。経営再建を進めて昨年10月、東証1部へ再上場を果たし、投資額を回収することに成功した。今年に入って、M&Aを加速させている。全国で温泉旅館などを運営する大江戸温泉ホールディングスを3月中旬に買収。同社の橋本浩社長と一族から全株を取得し、橋本氏らは経営から退いた。同社は「お台場大江戸温泉物語」(東京)など全国29カ所に温泉旅館や日帰り温泉を展開している。ベインは訪日外国人の増加に伴って温泉旅館の需要増が期待できると判断した。今後、海外でも温浴施設を展開する方針だ。

 日本風力開発(東証2部)に対しても、TOBを実施し、上場を廃止する。同社の塚脇正幸社長と組んで、ベインが設立した会社が3月24日から5月8日まで買い付けを実施する。1株当たり580円で買い付け、全株を取得すると買収額は97億円になる見込みだ。日本風力開発は、立地の良い風力発電所の建設案件を多数保有しており、成長が見込めると判断した。さらに、資金を投じて風力発電所の増設を進め、企業価値を高めた上で数年後の再上場を目指す。

旧村上ファンドの動きが活発化

 旧M&Aコンサルティング(旧村上ファンド)の流れをくむ投資ファンドの動きも活発だ。アクティビストとして一世を風靡した同社は、ニッポン放送の株式売買をめぐるインサイダー取引事件で代表の村上世彰氏が06年に逮捕されたのを機にマーケットから退場。

 村上氏に代わって旧村上ファンド出身者たちが蠢動している。企画課長だった三浦恵美氏が代表を務めた投資ファンドのレノは13年1月、ゴルフ場運営会社PGMホールディングス(東証1部)が仕掛けたアコーディア・ゴルフ(同)の買収戦に参戦。150億円を一気に投じて、アコーディアの約2割の株式を取得し、キャスティングボートを握った。PGMによる買収を阻止するためアコーディアは、保有するゴルフコースの大半をシンガポールのファンドに売却し、その資金を元手に自社株買いを行った。これに応募したレノは300億円で持ち株を売却。投資した額の倍の利益を上げ、投資は大成功を収めた。

 レノは今年2月、自動車サスペンションメーカー、ヨロズ(東証1部)に配当を上積みするよう要求。ヨロズは15年3月期の配当を1株26円から50円へ、配当性向を10%から20%へ引き上げた。3月には日本証券金融(東証1部)の株式を5%取得した。

 旧村上ファンドで資金運用責任者を務めていた高坂卓志氏が設立した投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは、日産車体(東証1部)、セゾン情報システムズ(ジャスダック)、テーオーシー(東証1部)など15銘柄に投資している。エフィッシモは今年1月、家電量販店首位ヤマダ電機(東証1部)の16.63%を保有する筆頭株主に浮上。6月の株主総会に向けて、どんな揺さぶりをかけてくるかに関心が集まっている。

 かつて旧村上ファンドは、ニッポン放送やTBS、阪神電鉄の株を買い占めるなど大掛かりな仕掛けで株式市場を賑わしたが、それに比べれば出身者たちの仕掛けは小ぶり。投資ファンドは栄枯盛衰の激しい業界だ。出資者が資金を引き揚げてしまえば、資金のパイプが詰まり、うまくいかなくなる。出資者へ確実に配当するためにリスクを避け、着実に稼げる投資を心掛けているためだとみられる。

 村上氏は4月7日に関東財務局へ提出した大量保有報告書で、電子部品商社の黒田電気株式を3月末時点で5.94%保有していることを明らかにした。旧村上ファンド関係者が運営するC&Iホールディングスなどの共同保有分を合わせると、持ち株比率は10.96%になる。

 8日の東京株式市場で黒田電気の株価は一時、400円高(ストップ高)の2353円まで買われ、年初来高値を更新した。「旧村上ファンド関係者が運用する投資ファンドへの注目が、さらに高まりそう」(市場関係者)との声もあり、関連銘柄の株価動向が注目される。
(文=編集部)

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