2.スペイン銀行救済
Spain seeks eurozone bailout – FINANCIAL TIMES(6月9日)
FINANCIAL TIMESはいち早く9日の午後にはすっぱ抜いてましたが、日本の報道は一日遅れ。現地駐在員は何をやっているんでしょうか。ワインでも飲んで寝ているんでしょうかね(笑)。
今回はギリシアと違い
(1)白旗を揚げたのが早かったこと
(2)銀行の不良債権さえ処理すれば、スペインには十分な成長余力があること
などから、早めに不良債権を処理すれば、なんとかなるかもしれません。
普通はIMFがやったように、事件を矮小化させるためにせいぜい400億ユーロとか、お茶を濁すためにことが大きくなるのですが、今回は一気に1000億ユーロと出てきましたね。およそ100兆円ではなく、10兆円です。
で、日本のバブル崩壊での不良債権の処理額がおよそ100兆円といわれていますので、初動としては十分足りると思います。
悪いニュースばかりだったユーロですが、これはもしかすると転換点になるかもしれません。返す返す、ギリシアが残念です。さて、次はそのギリシア。
3.ラトヴィア
Latvian Competitiveness – The New York Times(6月10日)
Paul Krugman先生のThe New York Timesのコラム。
リーマンショックで破綻寸前までいったラトヴィアの回復を分析したものです。要するに、通貨が大幅に切り下がるが、輸入もできなくなるために貿易収支自体はそれほど赤字になるわけではないし、安い通貨をめがけて他の有力欧州国が積極投資をしてくるので、経済成長もそれほど落ち込んだわけではなく、現在はわずか3年で経済成長率がプラスに戻っている、という分析ですね。
ギリシアもこれ以外に方法はないよ、とおっしゃっておられるわけですね。通貨さえ一度切り下げて、他国が足りない分を貸してあげることはこのようにできるのですが、通貨がユーロのままだと、輸入削減と外部投資の増加が見込めない……。
同じコストがかかるとなれば、みんなドイツに工場をつくりますが、それが10分の1のコストでつくれるとなれば、ギリシアに工場を建てようとする人も出てくる、ということで、当たり前の話なのですが、逆にギリシアをユーロから離脱させないで救済する方法がある、という人には、具体的な方法を教えてほしいと思っているわけですね。
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モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&A、ベンチャー投資、企業再生などを手がけている。また、「AERA」(朝日新聞出版)、「週刊SPA!」(扶桑社)でコラムを連載中。