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年金運用、赤字2兆690億円=欧州危機と円高響く 4~6月期 ー THE WALL STREET JOURNAL(8月31日)
2兆円というとすごい金額なのですが、問題は2兆円の元本運用資産はいくらだという点に着目すべきですね。運用資産は108兆円ですから、2兆円というとほぼ2%弱ですから、昨今の運用環境からみれば、推して知るべしという成績なのではないでしょうか。今は本当に難しい時代で、これだけ低金利の環境では、何に投資してもなかなか利回りが出ないという現実があります。
株も以前のように長期でみれば株価が上がるかというと、もはやそのような時代でもありません。かといって債券に投資しても利回りが取れない超低金利の時代、かつ過剰流動性で中央銀行が揃って金融緩和をしている状況では、利回りも下がってしまいます。そういった意味でも、運用は非常に難しい時代で、なかなか正解が見つからないと思います。
年金はちゃんと払っておけ!「国民年金破綻は誤解だ」 ー J-CAST会社ウォッチ(2009年8月26日)
以前私が書いた記事を取り上げて恐縮ですが、「国民年金破綻説」についても解説させていただきます。実は民間の保険からみて、公的保険には絶対にかなわない点があります。そもそも、死ぬまでの間ずっと、一定額の給付を保証する終身年金は、民間保険会社では多額の払い込みを要する商品です。しかし、公的年金は世代間や世代内で所得の再配分を行い、他の財源も導入して一定額の給付を保証しています。ですので、非常に魅力的な商品なので、制度を否定したり、利用を拒むのは望ましくはないでしょう。現在の高齢者世帯の収入の7割は年金です。これを未払いでもらえないとなると、自分が高齢になった時に困るのは明らかです。
一方で浮いた年金問題などにより、「きちんと年金が支払われる」という点や、制度の持続可能性については、残念なことに国民から信頼を得られていません。ここが一番の問題なのです。私は、制度設計を担う厚生労働省の官僚の皆さんがもっと前面に出てきて、運営側の素顔が見えるようにすればいいと思います。ライフネット生命保険も、社長や私が講演会や著書を通じて少しずつ世間に知られるようになり、個人への信頼で保険に加入していただいています。生身の行政官の社会に対する熱い思いを語ることが、年金制度への共感と信頼性回復につながるのではないでしょうか?
高年齢者雇用、受け皿どうする? 企業に重荷…若い世代にしわ寄せも ー Sankei Biz(8月30日)
「年金支給開始年齢を引き上げるので、できるだけみんな65歳まで働いていただこう」という方向性自体は、いいと思うんですよ。ただ、企業に義務付けることには疑問を感じます。他方の解決策として、定年から年金支給までの5年分を貯金すればいいわけです。個人が十分に前から準備できるのであれば、企業に高齢者雇用を義務付ける必要性はない。
それよりも、雇用を生み出す政策を増やすべきだと思います。そのためには、1つは企業が従業員を雇用するコストを引き下げないといけないわけです。最低賃金の引き上げ等の施策は、一見雇用を守っているようにみえますが、トータルでみると雇用にとってはマイナスでしかありません。逆説的ですが、もし雇用を増やそうと考えているとすれば、企業にとっての雇用コストを下げるほうがむしろ大事です。