普通であれば、投資信託を購入したとしても、税金が安くなるということはありえない。しかし、確定拠出年金を利用する場合、投資信託や預金を行うことで節税ができることをご存じだろうか。
公的年金や企業年金は、国や企業などの責任において資金を運用しているのに対して、確定拠出年金は、将来受け取る年金を個人ごとに区分し、自分で運用するしくみ。運用次第で年金額は増えることもあれば、減ることもあるという自己責任型の年金だ。
これまで企業年金といえば、確定給付年金が中心となっており、将来もらえる年金額が保証されていた。しかし、JALのように企業年金が原因で財政がひっ迫する会社が後を絶たない。もっとも、JALはひっ迫どころか倒産をしてしまったが……。こんな事情から、確定拠出年金を導入する企業が増えてきている。
AIJ投資顧問による年金の消失問題も、確定給付年金が原因だ。年金資産が想定利回りに達しないので、無理な運用を行った結果、すべてを失ってしまったという痛ましい事件は、記憶に新しいだろう。
転職でも持ち運び便利な確定拠出年金
その点、確定拠出年金なら、将来支払う年金額の責任を企業が負うことはない。これまで企業が負ってきた年金の運用責任を、個人に転嫁したからだ。そのため、個人ごとの年金資産持分が明確であり、転職するときであっても持ち運ぶことができるというポータビリティがあるのが大きな特徴となっている。ちなみに、確定拠出年金として運用する商品は幅広く用意されており、定期預金、個人年金保険、各種投資信託の中から自分で選んでいく仕組みとなっている。
確定拠出年金は、企業型と個人型の2種類に分かれている。
会社員であっても自営業者であっても、働き方に応じて加入できる仕組みだ。会社員にとって確定拠出年金は、会社が掛金を支払うものというイメージがある。しかし、平成24年から従業員自身も掛金を払うことができるように変更されているのだ。企業と従業員の両方が掛金を支払えることから、マッチング拠出という。
公的年金だけでは、老後の資金が不足してしまうかもしれない。従業員自身も掛金を払って、将来に備える必要性が高いことから、この制度が導入されたという経緯がある。
掛金控除で節税効果
しかし、勤務先に確定拠出年金が導入されている人であっても、準備等があるため、今すぐにスタートできるわけではない。近い将来、マッチング拠出を利用できるようになると、自分が負担した掛金分を控除することができるため、節税効果を得ることができるだろう。