内閣府が8日発表した2023年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.7%減、この成長が1年続いた場合の年率換算で2.9%減となった。11月発表の速報値(前期比0.5%減、年率2.1%減)から下方修正された。内需の柱である個人消費が下振れしたほか、企業が在庫を積み増す動きが弱かったことが響いた。
過去の数値が遡及(そきゅう)改定されたため4四半期ぶりのマイナス成長となる。個人消費は速報値の0.04%減から0.2%減に下方修正。最新の統計を反映した結果、食料品や衣服の消費が速報段階の想定より悪かった。企業による設備投資は0.4%減(速報値は0.6%減)と下げ幅を縮小した。
民間在庫の変動が、GDPに与える影響(寄与度)も0.5%減(速報値は0.3%減)となった。仕掛かり品在庫を積み増す動きが事前の想定を下回った。季節調整の手法の見直しに伴い、輸出は0.4%増(同0.5%増)、輸入は0.8%増(同1.0%増)と、それぞれ下方修正された。
物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.01%減、年率0.05%減となり、速報値(前期比0.04%減、年率0.2%減)から上方修正された。年換算の実質GDP実額は558兆2403億円で、4~6月期の換算額と比べ減少したものの、コロナ禍前で最高だった19年7~9月期(557兆2603億円)を上回った。同時に発表した22年度のGDP確報値は実質が前年度比1.5%増、名目で2.3%増だった。
◇7~9月期のGDP改定値
◇実質成長率 ▲0.7 (▲0.5) 年率換算 ▲2.9 (▲2.1)
◇寄与度 内需 ▲0.6 (▲0.4)
外需 ▲0.1 (▲0.1)
◇主要項目
個人消費 ▲0.2(▲0.04)
住宅投資 ▲0.5 (▲0.1)
設備投資 ▲0.4 (▲0.6)
民間在庫 ▲0.5 (▲0.3)
公共投資 ▲0.8 (▲0.5)
輸出 0.4 (0.5)
輸入 0.8 (1.0)
◇名目成長率 ▲0.01(▲0.04) 年率換算 ▲0.05 (▲0.2)
(注)カッコ内は速報値。数値は前期比伸び率%、寄与度は%。民間在庫は成長率への寄与度。▲はマイナス
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2023/12/08-11:42)