熊本県天草市出身の人気脚本家・小山薫堂氏がプロデュースし、デザインを同氏の盟友であるアートディレクター・水野学氏が手がけた“サラブレッド”ともいえるくまモンは飛ぶ鳥を落とす勢いの人気ぶりを維持しており、昨年12月26日、日本銀行熊本支店は、くまモンが同年10月末までの2年間で「1244億円の経済波及効果を及ぼした」という試算を発表した。
日銀が「ゆるキャラ」の経済波及効果を試算したのは初めてで、12月28日付読売新聞記事で熊本支店長・坂本哲也氏は、「県経済への影響は相当な額。くまモンに県が支出している数億円と比べて費用対効果も大きい。民間に広く使用を許可するなどPR戦略が巧みだ」と分析。加えて、「課題は、成果を持続させる体制や仕組みをつくること。一過性のブームで終わらないようにしてほしい」と注文している。
年をまたいでも、くまモンに関するニュースは相次いでいる。1月4日付「東スポWeb」記事『紅白で下ネタ連発しNHKから怒られたくまモン』は、「本紙記者が耳を疑ったのは、本番で出番待ちのくまモンが報道陣らと談笑していた時、通訳を介して発したひと言。『同郷のスザンヌが1月、出産予定ですよ』と水を向けられるや、『それ、ボクの子』と危ないジョークをサラリ言ってのけたのだ」と報じている。NHKのスタッフからは「あんまりふざけ過ぎないで、会場の皆さんと一体となってください!」との声がかかったとされているが、基本的には“愛すべき問題児”という扱いで、くまモン自体を批判するような内容ではなかった。
地元・熊本県では批判の声も
気になるのは、1月5日に生活情報サイト「Pouch」が掲載した『「裏切りくまモン!」と県民からフルボッコで居場所が無い。クマもん疎開も考え中か?』との記事だ。記事によれば、「熊本県代表として県を盛り上げていくことを目的に登場した彼が商売に味をしめ手広く活躍しだしたために、熊本県民から『ご当地キャラのくせにほとんど熊本県にいない!』『県を盛り上げるのに海外まで進出する意味があるのか』など本来の目的を忘れ調子に乗っていると、あろうことか故郷から批判の声が上がっている」という。
もみじ饅頭を抱えた「広島限定くまモン」や、タコ焼きを抱えた「大阪限定くまモン」など、他県のシンボルとともにグッズ化されていることを例に、「熊本県を盛り上げるどころか他県を応援してしまっている」「本拠地である熊本県にくまモンがめっきり顔を出さなくなっている」としており、Twitter上では単なる「憶測記事」との批判もあるが、「展開的にはもうサンリオキャラだよね」と同意する意見も見られた。
そんななか、「くまモンファン感謝祭inTOKYO2014」が、東京国際フォーラムで1月11~13日の3日間にわたり開催されている。大阪、福岡、そして熊本も含めた全国4都市で行われるファン感謝イベントの一環だが、「地元軽視」という思わぬ批判が飛び出したなかで、各地での盛り上がりはどうなるか。地域の活性化に貢献してきたご当地キャラ、くまモンが果たして「一過性のブーム」で終わるのかどうか、今年が勝負の年になることは間違いないだろう。
(文=blueprint)