くまモンといえば、今や「ゆるキャラ」として1番の人気者。熊本県のキャラクターでありながら、日本全国で高い知名度を誇り、その経済効果は、NHKの大河ドラマをしのぐまでになっている。
このくまモンの経済効果を日本銀行熊本支店が試算し、2013年12月26日発表した(「くまモンの経済効果」)。「ゆるキャラグランプリ2011」でくまモンが優勝した11年11月から13年10月までの2年間で、くまモンを利用した商品の売上高と、くまモンによって増加した観光客数をそれぞれ推計したところ、熊本県への経済波及効果は、1244億円に上るとしている。
熊本県が利用を許可した企業などを対象にした調査結果から、くまモン関連商品の売上高は1250億円と推計され、その経済波及効果は1232億円となっている。
経済波及効果には、「直接効果」「一次波及効果」「二次波及効果」がある。その内訳は、文字通り「直接効果」はくまモン関連商品により、県内の生産額がどの程度増加したかを表し、761億円となった。一次波及効果は直接効果によって県内の産業にもたらされた生産の誘発額で277億円、二次波及効果は直接効果と一次波及効果により増加した雇用者所得が消費に向けられることで県内の産業にもたらされる生産の誘発額で、113億円となっている。
くまモンによって増加した観光客数は、2年間で18.8万人としており、これにより増加した県内の観光消費は8億円となり、経済波及効果は直接効果が7億円、一次波及効果が3億円、二次波及効果が2億円の計12億円。商品関連の経済波及効果と観光関連の経済波及効果の12億円を合計し、全体の経済波及効果は1244億円となっている。
ちなみに、NHKの歴代の大河ドラマで最も経済波及効果があったのが10年の『龍馬伝』で高知県に536億円、長崎県に182億円となっている。次いで、『篤姫』で鹿児島県に262億円。これは、1年間の経済波及効果であるため、くまモンの2年間とは単純比較はできないが、くまモンはNHKの大河ドラマをしのぐ経済波及効果を発揮していることがわかる。
また、日銀熊本支店では、くまモンのパブリシティ効果も推計している。くまモンがテレビで取り上げられた時間は、調査対象の2年間で1593回、127時間に上り、新聞に掲載された関連記事は2265本で、面積は31平方メートルとなった。この両者のパブリシティ効果を試算した結果、テレビが80億円、新聞が10億円となり、計90億円の効果があったとしている。
さらに、熊本県の13年度のくまモン関連予算は約2億円で、13年中のパブリシティ効果は51億円と推計されており、約25倍の費用対効果があったとされている。
さて、午年の今年はどんなキャラクターが評判となり、地元の莫大な経済波及効果をもたらすのであろうか。さしずめ群“馬”県の「ぐんまちゃん」あたりが最有力かもしれない。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)