まず、日経平均「株価2万円」説は、昨年末の総選挙の大勝で自民党の長期政権化がマーケットに意識されていること、2015年3月期の決算は日本企業全体で9~12%の大幅増益になる公算が高いこと、米国を中心とした世界経済の回復が起きることなどから、「日本株は長期的な上昇トレンドに入ると考えられます。東京五輪が開催される2020年に向けて、日経平均株価3万円へ上昇するシナリオも現実味を帯びてくる」(同記事より)
そして、「暴落8000円」説は、「投機筋が日本の消費動向に目を光らせ始めた(略)最近は円安による物価高で個人消費がどれほど冷え込むかに視点が移ってきている」(同記事より)。家計貯蓄率も初めてマイナスとなり、貯蓄を切り崩して生活をせざるを得ない人々も大量発生している。
投機筋は金融緩和(円安→物価高)を進める日本銀行への警戒感を見せ始めているのだ。
実は、日銀は株式を上場しているのだが、その株価はアベノミクス当初水準まで逆戻りしている。「アベノミクス開始当初は一気に超高値まで上昇したものの、日を追うごとに下落。昨年にはあっけなく、5万円割れし、直近では安倍政権が誕生した12年12月水準近くまで落ち込んでいる」(同記事より)
日銀株の1月27日終値は4万6800円、マーケットによる日銀への期待はほぼゼロと見ることもできるのだ。
「1月6日の株価が大暴落した背景には、ある外資系証券会社が日本での事業から大きく撤退するとの情報がマーケットを駆け巡っていたという事情があります。実はこの日、黒田総裁はバズーカをさく裂させ、日銀は株式市場に341億円の資金を投入している。株価を支えようとしたのでしょうが、まったく効き目がなかったということ。投機筋が一斉に逃げ出せば、日銀も止められない」(同記事より)
アベノミクス当初は、「爆走するアベノミクス 『安倍バブル』あっという間に株価1万2000円 『1ドル100円超え アベよ、これでいいのだ』」(13年2月16・23日号)などとバブルを煽っていた「週刊現代」が、まさかの投資への警鐘記事を掲載するとは、今年の投資は要注意ということだろうか。
(文=松井克明/CFP)