消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
とはいえ、客観的に見ると、改革のポイントが絞り込まれ、農業改革ではなくJA全中改革に終始した感は否めない。というのは、農業への新規参入の促進や企業の農地所有の解禁、農地の転売規制の見直し、農家への補助金制度の見直し、競争力のある農産物開発など、重要な改革でほとんど抜本策が盛り込まれなかったからだ。そういった意味では、これまで改革の障害になっていた抵抗勢力のJA全中叩きには成功したものの、農業全体の抜本改革には手をつけられなかったのが、今回の改革の特色だ。
農業は戦後70年の間に、就業人口が8分の1の200万人に減り、従事者の平均年齢が66歳を超える高齢化に直面している。その一方で、消費者は高い国産米など国内産品の消費を強要されてきた。コメは「ミニマムアクセス(最低輸入量)」を年間77万トンに限定し、これを上回る部分には778%の高関税をかけて、輸入を制限してきた。最近でいえば、スーパーの陳列棚で欠品が目立つのに、なかなか十分な輸入が行われなかったバターの問題もある。農業と農政にいら立ちを感じている消費者は多いはずだ。
万歳氏の辞任を機に、政府・自民党がJAグループの懐柔に動き、改革を疎かにするようでは、国民は浮かばれない。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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