「好訴者」になる可能性
それに対して、落ち込むのが嫌なあまり、マニック・ディフェンスをいつまでも続けようとすると、厄介なことになる。高揚感をずっと維持しようとすると、それが攻撃的な形で表れることが少なくないからだ。
こういうタイプは、あら探しばかりして、他人がちょっとでも間違った行動を取ると文句を言うことが多い。松居さんも、急きょ会見を開いた理由として、12月13日に家裁で「12月16日まで他言してはいけない。一切公にしてはいけない」という「厳粛なお約束」が交わされていたにもかかわらず、14日に船越さんの所属事務所であるホリプロが離婚成立を文書で発表し、スポーツ新聞も報じたことを挙げている。
つまり、ホリプロの離婚発表が“フライング”だったから会見を開いたと主張しているわけだが、そもそも離婚成立を「12月16日まで他言してはいけない」のはなぜなのか、その理由が不明である。うがった見方をすれば、「厳粛なお約束」を盾に取って、あら探しをしているように見えなくもない。
松居さんは、会見で「まだ戦いは終わったわけではありません。まだ1つの戦いはあります」と話している。この「戦い」をホリプロからの損害賠償を求める訴訟と見る向きもあるようだが、別の「戦い」を松居さんがしかけても不思議ではないと筆者は見る。
というのも、この連載で以前指摘したように、もし松居さんに、侮辱されたとか、権利を侵害されたとか主張し、全精力をひたすら告発、闘争、訴訟などに捧げる「好訴者」としての性格があるのであれば、数多く訴訟を起こすことも考えられるからだ。「好訴者」は独善的な正義感の持ち主であることが多いが、松居さんも会見で記者の質問に「私が今、話したことが正しいことなんです」と答えたことに如実に表れているように、「自分が絶対正しい」と思い込みやすいタイプのように見受けられる。
したがって、会見で「クヨクヨもしていない。泣いてもいない」と離婚によるダメージを否定した松居さんは、今後もマニック・ディフェンスを続けようとして、「好訴者」になっていくのではないかと危惧せずにはいられない。
(文=片田珠美/精神科医)