一方、フロアの端では出番を控えた、あるいはすでに出番を終えた出演者たちがステージ上のダンスを即興でコピーし始める場面も見られ、微笑ましい光景というほかない。アイドルの曲に合わせ大声で叫びたい男性たちも、アイドルのように踊りたい女性たちも、「アイコピ」では上手く共存しているということだろう。
最後はMCから、第3回「アイコピ」の開催が6月30日に決定したとのアナウンス。約5時間にわたるイベントは、盛況のうちに幕を閉じた。
素人コピーダンスサークルの動画が驚異の160万回再生
終演後、乃木坂46や欅坂46のコピーダンスサークルである聖坂46の代表者に話を聞いた。
「乃木坂46のファン仲間を増やしたいと思ったのが結成のきっかけで、7月で活動を始めてから2年になります。ネットでも仲間をつくることはできますが、それだけだとつながりが切れてしまいやすいので、何かひとつ目標があれば頻繁に会えるのではないかと考えたのです。そこで、コピーダンスをやるということを思いつきました。多いときは練習で週に3回くらい集まっています。
メンバーの構成比率は学生が3割、社会人が7割。YouTubeへの動画投稿が主で、『アイコピ』のようなイベントへの出演はメインではないのですが、今回はたまたま暇なメンバーが多かったので参加しました(笑)。振り付けのコピーについては、ライブ映像や音楽番組を1回1回止めながら『ここはこっちに動いている』と解析するメンバーがいて、ほかにも動画編集班、音源班、ダンス班……といった具合に役割分担しながら、がんばっています」(聖坂46代表)
彼女たちが欅坂46の『不協和音』をコピーした動画は、YouTubeで160万回再生という驚異的な回数を叩き出しており、その注目のほどがうかがえる。7月には結成2周年を祝した単独公演を開くそうだが、「私たちはアイドルではないので、あくまでも発表会みたいなものです」(同)と謙遜していたのが印象的だった。
コピーダンスから本物のアイドルが生まれる可能性も?
続いて、「アイコピ」運営委員長を務める株式会社トラント代表取締役社長の角田志保氏に、イベント開催の狙いや反響を尋ねた。
「今、YouTubeなどでは『踊ってみた』動画が人気沸騰中ですので、その市場でイベントを開催したいと思い、昨年11月に第1回『アイコピ』を企画しました。会場にはアイドルの聖地的な存在である原宿アストロホール(昨年末に営業終了)を選んだものの、ホール使用料がかさみ、収益としては赤字だったのが正直なところです。