ただ、最初にそのような会場で開催することでブランディング効果はありましたし、好評の声もいただきました。男性客のほうが多いとはいえ、可愛い女の子のなかにもアイドルのオタクがいることを目の当たりにし、驚きもしました。彼、彼女たちは、たとえばAKB48の曲やダンスが好きなら、ステージで踊っているのが本物のメンバーでなくても、観客席で一緒になって盛り上がれるのです。
だからこそ、いろいろなアイドルの曲を一度に聴け、ダンスも観られるという『アイコピ』のようなイベントが支持されるのでしょう。今回は動画配信アプリの『Live.me(ライブミー)』が協賛してくださり、イベントの模様は世界中に生配信されました。現在は利益をそこまで重視しておらず、チケット代もなるべく通いやすい料金設定にしておりますが、第2回では赤字から黒字に転じたため、この調子でイベントが少しずつ認知されていけば幸いです」(角田氏)
では、ほかのアイドルコピーダンスのイベントもあるなか、「アイコピ」はどのように住み分けしているのか。
「『アイコピ』はコンテスト形式にしないことと、出演者たちにチケットノルマを課さないことの2点を最初に決めていました。もっとも、出演者の方々にはチケットノルマがない分、『Live.me』での生配信やSNSを通して『アイコピ』を広めてほしいとお願いしております。とはいえ、人前には出たいけれども、集客はできないというのであればイベントとして成り立ちませんから、そこは次回の出演者を募る際、シビアに考慮するかもしれません。
要はダンスが上手か下手かよりも、一生懸命やっていただけるかどうかが大事ということです。衣装や演出をすべて自分たちで考えながら練習するという、その努力をファンのみなさんは応援したくなるのだと思いますし、そんな出演者たちが何チームも集まってくれれば、イベントは自然と素晴らしいものになるでしょう。
今後は大きい会場でのイベント開催を目指すというよりは、コンスタントに回数を重ねていきたいです。“アイドルコピーダンス”という文化を知らない層にも周知させ、ゆくゆくはひとつのエンターテインメントとして独立させられたらと考えております」(同)
どうやらアイドルコピーダンスは、単なる一般人のダンス披露の場ではなく、素人と芸能人の中間というユニークな立ち位置で人気を博しているようだ。
余談だが角田氏いわく、「アイコピ」出演者をスカウトし、リアルなアイドルグループをつくろうという話も進行中とのこと。それもまた、展開としてはおもしろいのかもしれない。
(文=森井隆二郎/A4studio)