有村架純が主演する連続テレビドラマ『中学聖日記』(TBS系)の第5話が6日に放送され、平均視聴率は前回から1.1ポイント増の6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。プロ野球日本シリーズの影響で40分遅れとなった前回(5.4%)を除けば、初回からずっと6%台で推移しており、低水準ながらも固定ファンをガッチリつかんだといえそうだ。
このドラマは、婚約者がいながらも、自分が担任する中学校の男子生徒・黒岩晶(岡田健史)に心惹かれていく教員・末永聖(有村)の禁断の恋を描く物語だ。第5話は、聖と晶が手をつないで晶のマンションに入っていこうとしたその時、聖の婚約者・川合勝太郎(町田啓太)と晶の母・愛子(夏川結衣)と鉢合わせした場面から始まった。
勝太郎は聖を「信じてる」と言うばかりで、それ以上何も聞こうとしないが、愛子はさっそく学校にこの件を報告。結局、聖は依願退職扱いとなり、学校を去った。勝太郎は「(自分が住む)大阪で心機一転やり直せばいい」と聖を励ます。引っ越しの当日、すべての荷物が大阪に送られたのを見届けてから、勝太郎の運転する車で大阪へ向かう聖。海沿いの道を走っていたその時、晶の乗った自転車が猛スピードで後方から接近してきた。自転車が転倒してもなお、「行かないで、待って」と叫びながら後を追ってくる晶。助手席の聖は「やっぱり一緒には行けない」と言い出し、左手にはめていた指輪を外して車を降りた――という展開だった。
ドラマとしての良しあしは別として、実に笑いどころの多い回だった。その筆頭は、晶が単純なおバカすぎることである。年上でちょっとかわいい先生にのぼせ上がるのはわかるが、母親に向かって「いつか先生と結婚する」と宣言するのはイタすぎる。小学生じゃあるまいし、さすがに中3でその頭のレベルはキツイ。
大きな手で聖の腕をガシッとつかんで「やだ、やだ……」とただをこねるのも怖いし、「先生を辞めさせないでください。僕が辞めますから」と教頭に必死に訴えるのもちょっとおかしい。中3にもなれば、教師と生徒の間に不適切な関係があればタダでは済まないことくらいわかるだろう。そもそも、大好きな聖先生が学校を辞めなきゃならないのは、お前のせいだぞ。ここまでおバカだと、ちょっと心配になってくるレベルだ。友達にお金を借りて突然大阪に行き、勝太郎の会社に突撃したのも結構ヤバい。考えは足りないのに行動力だけはあるという、もっとも危険なタイプではないか。普通に走っている車を自転車で延々と何キロも追いかけ、ついには追い付くというモンスターぶりを見せ付けられたのに至っては、もはやバカバカしくて笑うしかない。
信号もないのに自動車に自転車が追い付くというあり得ない展開に、視聴者も「晶は競輪選手になるべき」「彼氏も空気読んでスピード落とすな」「むしろスピードを上げて走り去らずに延々と後を追わせるいやがらせなのでは」「どうせならこのまま大阪まで付いていけ」など大盛り上がり。ダメ脚本すぎて逆に楽しくなってきた。
勝太郎の上司・原口律(吉田羊)にもツッコミが殺到。いちいち勝太郎のプライベートに口をはさんでくる横暴ぶりに、「羊うざい」「セクハラとパワハラがひどい」「いい女ぶってるけど結局性欲のままに動いている」など、視聴者からのダメ出しが相次いだ。大手商社でそこそこの地位にいるはずなのに、キャミソール的なインナーにスケスケのシースルーという珍妙なファッションで勤務していたのも爆笑モノ。
これまでも、「制作陣は吉田の衣装で遊んでいるな」と感じることは多々あったが、さすがにまともな会社でデコルテ丸見えのシースルーはないだろう。律はそんなエロい格好のまま、勝太郎を訪ねてきた晶をお説教していたが、逆に晶を刺激してしまうのではないとか心配してしまった。むしろ、「このエロいおばさんと中学生がくっつけば、すべて丸く収まる」という視聴者の声もある。確かに、どちらも結構性欲丸出しなので、意外にお似合いかもしれない。まあ、そんなムチャクチャな展開はないだろうが。
聖は聖で、バカ正直に「黒岩君とキスしました」と白状して愛子を逆上させるし、荷物をすべて送ってしまったはずなのに大阪に行かずにとどまるし、もはや何を考えているのかさっぱりわからない。わかるのは、他人の気持ちを考えない相当なクズ女ということだけだ。
そんな混沌とした状況のまま、劇中では3年が経過。次回の第6話からは、小学校教師となった聖と高校生になった晶の再会が描かれるようだ。もはや「純愛ドラマ」路線には戻れないと思うので、こうなったらとことんダメな人ばかりが登場するお笑い路線を貫いてほしい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)