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『黒子のバスケ』脅迫騒動、商品撤去で分かれる対応「脅迫という検閲可能に」「安全重視」

文=blueprint
『黒子のバスケ』脅迫騒動、商品撤去で分かれる対応「脅迫という検閲可能に」「安全重視」の画像1『黒子のバスケ 24』(集英社/藤巻忠俊)

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の人気マンガ『黒子のバスケ』(原作・藤巻忠俊)に対する脅迫行為が相次いでいる。大手レンタルビデオ店・TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブは10月29日、脅迫状が届いたことを受けて、全国1450店舗から同アニメのDVDやCD、コミックなど、『黒子のバスケ』に関連するすべての商品を店頭から撤去すると明らかにした。

 10月30日付朝日新聞によると、脅迫状が届いたのはTSUTAYAのほかに、ジュンク堂書店や紀伊國屋書店、三省堂書店などの大手書店チェーン。いずれも15日に脅迫状が届き、「11月3日までに『黒子のバスケ』の関連商品を撤去しなければ、客の生命に危害を加える」という内容だった。TSUTAYAのほかに、関連商品の撤去を明らかにしているのは有隣堂。ともに「客の安全を重視」しての判断だという。

 一方、ジュンク堂や紀伊國屋書店、三省堂書店は販売を継続する方針だ。ジュンク堂書店は販売継続の理由について、「本は表現作品であり、書店は読者に届けるために預かっている立場。軽々には撤去できない」と朝日新聞の取材に答えている。

 撤去か販売継続か。書店によって判断が分かれたことで、撤去を決めた書店に対してネットユーザーからは「気に入らない作品があれば脅迫という検閲が可能だという前例をつくってしまった」「かえって犯人を煽るだけでは?」など、批判的な意見も見られた。

 評論家の呉智英氏は、前出の朝日新聞記事で、書店によって判断が分かれたことについて「万一何か起きたらと考えると、人々の良心に期待できるようでできないのが現代社会」「犯人は大衆社会の弱みを突いている。だが、委縮は犯人の思うつぼだ」と指摘している。今後も脅迫行為が続けば、脅しに屈しない強固な姿勢で対応するのか、それともユーザーの安全を守るために従うのか、企業は難しい選択を迫られそうだ。

『黒子のバスケ』に対する脅迫行為は昨年10月、作者の藤巻氏の出身校である上智大学などに、不審な薬品と共に「俺は藤巻忠俊が憎い」などと書かれた手紙が届いたのを発端に頻発。全国各地で『黒子のバスケ』関係のイベントが次々と中止に追い込まれ、同年12月に開催された日本最大の同人誌即売会・コミックマーケットでも、『黒子のバスケ』関連の約900サークルが参加見合わせになった。

 その後、今年4月に再び同人誌イベントの中止を要求する脅迫状が各地に届けられたものの、以降はしばらく動きが途絶えていた。しかし10月15日、『黒子のバスケ』関連菓子を販売するコンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンや報道機関などに「毒入りの菓子を店頭に置いた」との脅迫状が届き、店頭から関連菓子が撤去されていた。

●難航する捜査

 10月30日付朝日新聞によると、警視庁は威力業務妨害の疑いで捜査を進めている。ただ、脅迫状では「動機は(作者への)怨恨」と書かれているものの、作者自身は「心当たりはない」と警視庁の事情聴取に答えているという。また、脅迫状は郵送で送られてくるが、封筒の消印は「さいたま新都心」や「尼崎」などばらばら。文面にも一部違いがあり、模倣犯がまざっている可能性もある。

 脅迫行為の多くが、電話やインターネットを使わずに郵送で送られてくることから、警視庁は郵便ポスト周辺の防犯カメラの解析を進めているという。しかし、前出の朝日新聞記事で捜査員の一人は、「ポストの数は多く、消印だけでは投函時間にも絞りにくく、投函者がカメラに写っていても、郵便物と一致させるのは難しい」と話している。捜査は難航している様子。犯人逮捕までには、まだしばらく時間がかかりそうだ。
(文=blueprint)

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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