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吉田潮「だからテレビはやめられない」(11月30日)

新流行語大賞の“テレビ発”候補語から、局別に今年1年のテレビを振り返る

文=吉田潮
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新流行語大賞の“テレビ発”候補語から、局別に今年1年のテレビを振り返るの画像1新流行語大賞有力候補の「倍返し」を生んだドラマ『半沢直樹』(「同公式サイト」<TBS HP>より)

 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 11月20日、年末恒例の「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞」の候補語50語が発表された。ああ、年末なんだなぁと思いつつ。「え? こんな言葉流行したっけ?(というか知らないんですけど)」みたいな言葉も多々ある。さらには「昨年、いやもっと前から話題だったじゃん、今さらコレですか?」という言葉もある。

 でも、テレビ番組発の候補語がいくつかあることは、テレビもまだまだ捨てたもんじゃないと思えるではないか。特に今年はドラマ発が多いのも、「ドラマの底力」を改めて証明する、いい傾向だなぁと思う。私が知る限りで、テレビ番組発の候補語を、ちょっとテレビ局別にチェックしてみよう。

●テレビ朝日系

「美文字」は『中居正広の怪しい噂の集まる図書館』(現在は『中居正広のミになる図書館』)で、美人書道家の中塚翠涛さんが芸能人の書く字を採点する企画。中塚さんの惚れ惚れするような美文字を観るのも好きだし、芸能人の稚拙でひどい文字(番組内では「汚文字」と蔑まれる)を嘲笑するのも一興。

「ビッグダディ」「ハダカの美奈子」は、言わずもがな、あの一家が発端。テレ朝のキラーコンテンツとして人気を博していた『痛快!ビッグダディ』も、嫁が微妙な芸能人になっちゃったし、今となっては放映価値も大暴落。テレ朝としては忸怩たる思いに違いない。流行語に2つもエントリーさせるなんて、あの夫婦の喧嘩をさらに煽っているとしか思えない。もうおなかいっぱいなんだけどな。

●NHK

「ダイオウイカ」は、『NHKスペシャル〜世界初撮影! 深海の超巨大イカ』で一躍有名に。「じぇじぇじぇ」「あまロス」はエントリーされて当然の運び。個人的には「あばずれの食い物」「第三セクターなめんなよ」「わかるヤツだけわかればいい」あたりも変化球として入っていたら面白かったのだが。

 もしかしたらウッチャンのコント番組『LIFE!』 が陰の立役者かもしれない。ドランクドラゴンの塚地武雅演じる「イカ大王」コントや、ウッチャン渾身の力作パロディ「あまちゃん」。この番組自体がそんなに話題にならなかったものの、パロディを許したNHKの度量が認められたのではないか。そうなると、ウッチャンの功績もたたえるべきなのかもしれない。

吉田潮

吉田潮

ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)で「TVふうーん録」を連載中。東京新聞でコラム「風向計」執筆。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)などがある。

Twitter:@yoshidaushio

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