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渡辺雄二「食にまつわるエトセトラ」

飲食店やスーパー、薬っぽい「変な味」の食品は危険!強い毒性の添加物、がんのリスクも

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト
飲食店やスーパー、薬っぽい「変な味」の食品は危険!強い毒性の添加物、がんのリスクもの画像1「Thinkstock」より

 ビジネスパーソンにとっては、仕事帰りに同僚や友人などと一緒に居酒屋で「一杯やる」のが楽しみのひとつだと思いますが、その際に変な味のする肴(料理)を食べたという経験はないでしょうか?

 単に「まずい」ということではなく、薬っぽいような、酸っぱいような、食べ物本来の味ではない変な味です。特にキスの天ぷらや茹でエビ、焼きガニ、カレイの煮つけなど。それらを食べて変な味がしたら、殺菌料の次亜塩素酸ナトリウムが残留している可能性があります。次亜塩素酸ナトリウムは、プールの消毒薬として使われているものであり、カビ取り剤や塩素系漂白剤の主成分でもあります。

 実は筆者もこうした「まずい」料理を何度も口にしたことがあります。筆者は千葉県北部の小さな町に住んでいますが、家の近くの大手居酒屋チェーン店に入った時のことでした。焼きガニを頼んだのですが、出された瞬間から消毒薬のにおいがプンプン漂っていました。殺菌料の次亜塩素酸ナトリウムに間違いありませんでした。

 試しにそのカニを口に入れてみると、やはり次亜塩素酸ナトリウムの味がしました。塩素っぽい、ちょっと酸っぱい味です。店長を呼び、次亜塩素酸ナトリウムが残っていることを指摘しました。店長はそれを認めて何度も謝っていました。もちろん料金は取られませんでした。

 その店に板前はいたのですが、食材は本部で調達したものが送られてくるので、そんなカニが提供されてしまったのでしょう。こうしたカニは殺菌されているため、なかなか腐らず長期間保存できるメリットがあります。また、菌の繁殖を抑えるため、食中毒を防ぐこともできます。

茶さじ一杯で致死量の猛毒

 次亜塩素酸ナトリウムは食品添加物のひとつですが、最も急性毒性の強い添加物です。マウスを使った実験では、その半数を死亡させる量が体重1kg当たり0.012gというデータがあります。人間の推定致死量は、わずか茶さじ一杯です。また、次亜塩素酸ナトリウムを0.25%以上の濃度で混ぜた飲料水をラットに2週間続けて飲ませた実験では、著しい体重減少が認められました。おそらく胃や腸が荒れて、食欲不振や消化不良に陥ったのでしょう。人間が食べ物と一緒に摂取した場合も、食道や胃や腸などの粘膜が傷つくことは間違いないでしょう。

 このほか、人間の場合、次亜塩素酸ナトリウムを常用する洗濯業者に皮膚炎がみられたとの報告があります。皮膚の細胞を破壊したためと考えられます。

 最近、食材の腐敗防止や食中毒防止の目的で、次亜塩素酸ナトリウムが乱用されている感があります。居酒屋のキスの天ぷらや焼きガニ、カレイの煮つけ、寿司店のエビやあわび、さらにお店によっては焼きそばやラーメンなどの麺に使われていることもあります。

 また、レストランの食材に使われていることもあります。東京都内にあるスペイン料理店を某雑誌編集者と一緒に訪れた時のことでした。食事の最後にパエリアを注文したのですが、出てきた料理にビックリしました。塩素臭がプンプン漂っているのです。パエリアはムール貝などの魚介類を使いますが、それらは腐敗しやすいので、おそらく次亜塩素酸ナトリウムの溶液に丸ごと浸していたのだと思います。

 筆者は編集者に「これは臭いので食べないほうがいいですよ」と言ったのですが、「いつもこんな感じですよ」と言って、ひとりで全部食べてしまいました。つまり、意識していないと次亜塩素酸ナトリウムが使われていてもわからないのです。

 このほか、高級レストランの料理に使われているエビにも、次亜塩素酸ナトリウムが残っているケースがあります。仕入れたエビにすでに使われてしまっているからです。

調理器具の消毒にも使用

 次亜塩素酸ナトリウムは、スーパーマーケットでも使われています。肉売り場や魚売り場の前を通った時、プーンと鼻を突くにおいがすることがあると思います。その奥では、肉のかたまりを切ったり魚を切り身にしてパック詰めする作業が行われていますが、まな板や包丁などの調理器具を次亜塩素酸ナトリウムで消毒しているため、そのにおいが売り場まで漂ってくるのです。場合によっては、製品に次亜塩素酸ナトリウムが付着していることがあります。

 以前、自宅近くのスーパーマーケットで、パック詰めされたイカの握り寿司を購入して食べたことがあります。すると、例の嫌な味がしたのです。そこで、そのスーパーに電話すると、寿司を握った担当者が応対し、まな板や包丁などの消毒に次亜塩素酸ナトリウムを使っており、「それがイカに付いてしまったのだと思います。申し訳ありません」と謝っていました。

 調理器具を消毒した後、水でよく洗い流さないと次亜塩素酸ナトリウムが残ってしまい、それで調理した刺身や寿司、食肉などに残留してしまうことがあるのです。

 次亜塩素酸ナトリウムは、前述のように非常に毒性の強い添加物なので、それを摂取した場合、胃の粘膜が荒れると考えられます。すると、粘膜を修復するために細胞が再生されますが、その際に何らかの発がん性物質が作用すれば、胃がんになる確率が高まることになります。

 それになんといっても、次亜塩素酸ナトリウムが残っている食べ物はまずいのです。居酒屋や寿司店、レストランなどで、薬っぽいような、塩素っぽいような、ちょっと酸っぱいような変な味のする料理が出てきたら食べないほうがよいでしょう。もしできたら、店の人にそのことを伝えて注意するべきです。そうしないと、次亜塩素酸ナトリウムがさらに乱用されて、まずくて危険な料理がどんどん増えてしまいそうです。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

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