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「家庭に安心を届けるのがファストドクターの基本理念です」と菊池氏は目を輝かせ、同時にこう語る。
「往診対象者には、通院したくてもさまざまな理由で通院困難な人がいます。特に、高齢者からの問い合わせは多く、そして高い割合で救急車要請に直結しています。この現状の背景には、体力的に通院が困難であるだけでなく、在宅クリニックが夜間対応に積極的でないことや、入所施設が急病時の救急車要請をマニュアル化していることなどが挙げられます。特に後者は大きな問題で、受診の不必要なケースでも、施設側の都合で救急外来の受診を強制されているケースさえあります。そういった現状を打開するためにも今後、施設往診や医療相談にも取り組んでいくことを考えています」
一般のクリニック同様に、保険診療による診察を受けることが可能で、公費も適応される。
ただし、通常の初診料に加えて、往診料や時間外料金、深夜料金などが加わるため、日中の外来通院よりは高額になる可能性に留意する必要がある。
菊池氏は、「これからの医療は、通院、往診、遠隔の3本柱になっていくと思います」と話す。さらに将来的には、増大し続ける国民医療費の問題も改善したいと意欲を燃やす。
「国民医療費は40兆円を超えるとされていますが、そのうち3割を占める生活習慣病関連の医療費削減に、将来的には取り組みたいと考えています。健康診断で『要治療』と判定がでた企業職員に対して、受診を本人任せにするのではなく、往診スタイルで積極的かつ確実な治療介入ができれば、重症化の予防につながり、ひいては生活習慣病関連の医療費削減に貢献できると考えます」
今後のファストドクターの展開に注目したい。
(文=吉澤恵理/薬剤師)
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