がん医療が飛躍的に進歩でも、年々がん死亡者増加という不都合な真実…がんの定説が間違っている疑い
現在、日本人の死因の1位はよく知られているとおり「がん」で、死亡者数のおよそ3割を占めています(2015年、厚生労働省人口動態調査)。
日本で、がんが初めて死因の1位になったのは1981年のこと。それ以来、がんの死亡者数は年々増え続け、現在にいたるまで死因1位の座を不動のものとしています。
この数字が物語るとおり、がんは多くの人の命を奪う恐ろしい病気です。がんと聞けば、誰もが深刻にならざるを得ないほど、その恐ろしさが周知されています。
それだけに、がん治療の研究は絶え間なく続けられており、その成果として新しい技術や新しい薬が次々に開発されています。
また日本では、国民が公的医療保険に加入し医療費を互いに支え合う「国民皆保険制度」があるため、基本的に誰もが平等に医療の恩恵を受けることができます。
さらに、1カ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合は、超過した金額が後から払い戻される「高額療養費保険制度」もあり、国内で保険適用されている最先端の医療を誰でも受けやすいのです。今、話題となっている超高額薬価の抗がん剤「オプジーボ」も、基本的には誰でも使うことができます。
普通に考えるなら、がん治療の進展に伴い、医療環境が整った日本におけるがんの死亡者数は年を追うごとに圧倒的に減っていくはずです。
ところが実際には、この日本において、がんで亡くなる人の数は年々増えつづけています。がん治療の研究は継続的に行われているというのに、なぜ死亡者数は減少しないのでしょうか。
私たちが暮らす日本のみならず、世界の国々においても、がんの死亡者数は増えつづけているのでしょうか。
がんは無限に増殖する?
がんは細胞のイレギュラーによって起こる病気です。私たちの身体は約60兆個(近年の研究では約37兆個との説もあります)の細胞からできていて、それらの細胞は自らをコピーし、細胞分裂を繰り返しています。
正しくコピーが行われていれば問題はありませんが、何度もコピーをするなかで、うまくコピーできないもの、いわゆるコピーミスが起こります。それが「がん細胞の元」になるのです。
誰の身体でもコピーミスは1日5000回程度起こる、つまりがん細胞の元は1 日に5000個ほどできるといわれています。
「1日に5000個」と聞くと、絶望的な気分になりますが、こうした「がん細胞のもと」は、ほとんどが修復されたり、死んでしまったりします。たとえ修復されずに生き残ったがん細胞の元があっても、「NK(ナチュラルキラー)細胞」と呼ばれる免疫細胞が、修復されなかったがん細胞の元を食べて体内から消滅させます。