日本人、絶滅危惧5人種のトップ?農薬大量使用による昆虫減少が人類に与える甚大な被害
今、私たちに突き付けられている昆虫の絶滅という危機は、これまでの私たち自身の食料生産の方法が間違っていた、ということの証左でもあります。昆虫の減少、絶滅は私たち人類のみならず、地球に棲息する生物全体にとっての大問題で、これを食い止めることができなければ、生態系全体が飢餓により崩壊するということになります。
60年以上も前に、米生物学者のレイチェル・カーソンが指摘したように、除草剤や殺虫剤などの化学物質が私たちの体を蝕んでいることも事実ですが、それらの化学物質は標的である害虫だけではなく、生物界にとって有益な昆虫まで殺しているという事実に、目を向けなければならない時がきたのです。言うまでもないことですが、殺虫剤(農薬)は、昆虫も殺しています。
気候変動や異常気象など、私たちの力の及ぶ範囲を超えることも、昆虫の生息に影響を与えていることは確かですが、農薬や化学肥料を使用することで、私たちは結果的に自分の首を絞めている、ということに気づかなければなりません。
先日、筆者は近くの公園に散歩に行った折、孫に「じぃじちゃん(こう呼ばれております)は、虫は好き?」と聞かれ、「好きだよ」と即答いたしました。続けて「どんな虫が好きなの?」と聞かれ、しばし黙考の後、「カブトムシ」と答えました。すみません、告白しますと、カブトムシが特別好きなわけではありません。ただ、ほかの虫が思いつかなかったのです。
もう、おわかりのことと思いますが、筆者もこれまでそれほど昆虫に深く興味を持っていたわけではありません。そのことを、この原稿を書きながら、恥じ入っています。私たち一人ひとりが、もっと真剣に昆虫に目を向け、関心を持たないと、昆虫の絶滅を阻止することはできないばかりか、それは即、人類の絶滅につながるのだということを理解しましょう。
そんなことを考えるひとつのきっかけとしていただきたいのが、4月29日、30日に博多で開催する「JORA anniversary4.5 ~オーガニックへのみちしるべ~」です。筆者が主宰する一般社団法人 日本オーガニックレストラン協会(略称:JORA)が主体となって開催するイベントです。ここでは、これからの農業のあり方、食のあり方などを共に考えていきたいと思っております。どうぞ奮ってご参加くださいますよう、お願いいたします。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)