一部のワインに毒性ある二酸化硫黄含有、頭痛の原因か…「有機」「オーガニック」製品でも
ワインブームはずっと続いているようで、スーパーマーケットにはたいていワインコーナーがあり、各国のワインがずらっと並んでいます。最近は低価格のチリ産ワインが増えましたが、やはり本場のフランス、スペイン、イタリアなどの製品も数多く陳列されています。
EU(欧州連合)と日本との経済連携協定(EPA)が2月1日から効力を持ち、EU諸国産のワインの関税がゼロとなりました。そのため、今後EUの国々からのワインの輸入が増加するとみられます。
ところで、ワイン売り場では、「有機」あるいは「オーガニック(ORGANIC)」と表示されたワインが目につきます。最近、フランスやスペインなどでは有機ワインが普及していると聞いています。それらが日本にも輸入されているようです。
「有機」あるいは「オーガニック」と表示されたワインには、「有機栽培ぶどう100%使用」「○○産のオーガニックぶどうで作られたワイン」などと書かれています。これらを見た多くの人は、有機栽培されたぶどうでつくられていて、しかも無添加と思うでしょう。一般的に、「有機」「オーガニック」と表示された製品には添加物は使われていないからです。
しかし、それらのワインの裏ラベルをよく見ると、「酸化防止剤(亜硫酸塩)含有」あるいは「添加物:酸化防止剤(亜硫酸塩)」という文字があります。つまり、通常のワインに酸化防止剤として添加されている亜硫酸塩が、有機ワインにも添加されているのです。
ワインに添加されている亜硫酸塩とは、通常は二酸化硫黄のことです。これを添加することで、雑菌が繁殖するのを防いだり、酵母による発酵が進みすぎるのを抑えたり、成分が酸化して変質するのを防いだりしているのです。
しかし、二酸化硫黄は諸刃の剣なのです。というのも、毒性が強いのです。二酸化硫黄は、その気体を亜硫酸ガスといい、火山ガスや工場排煙などに含まれる有毒ガスです。空気中に0.003%以上あると植物は枯死し、0.012%以上あると人体に害が出るとされています。
そんな毒性物質であるため、二酸化硫黄を含むワインを飲むと、人によっては頭痛を起こすことがあります。私は添加物に関する講演の際に、「ワインを飲むと頭痛がする人は?」と必ず聞くのですが、参加者の4人に1人くらいは手を挙げます。
市販のワインの場合、国産も外国産も二酸化硫黄が添加されている製品が多いので、こうしたことになるのだと思います。そのため、最近では、酸化防止剤無添加のワインの人気が高まっており、各大手酒造メーカーからも無添加ワインが売り出されています。
「有機」でも亜硫酸塩を添加できるワケ
「有機」あるいは「オーガニック」のワインを、当然ながら無添加だと思い込んで買っている人が多いでしょう。「有機なら無添加で、安心して飲める」と思っている人もいるかもしれません。
ところが、前述のようにフランスやスペインなどから輸入されたワインには亜硫酸塩、すなわち二酸化硫黄が添加されているのです。なぜこんな状況になっているのでしょうか。
通常の加工食品の場合、「有機」または「オーガニック」の名称を表示するためには、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に基づく「有機JAS規格」を満たさなければなりません。
すなわち、「原材料は、水と食塩を除いて、95%以上が有機農産物、有機畜産物、有機加工食品であること」「化学的に合成された食品添加物や薬剤の使用を避けることを基本とする」という条件を満たし、それらが農水省に登録された有機認証機関によって認証されなければならないのです。
そして、認証された加工食品だけが、「有機JASマーク」を表示でき、「有機」や「オーガニック」という名称を表示できるのです。したがって、「有機」あるいは「オーガニック」と表示された加工食品に、毒性の強い二酸化硫黄が添加されていることはありません。