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渡辺雄二「食にまつわるエトセトラ」

一部のワインに毒性ある二酸化硫黄含有、頭痛の原因か…「有機」「オーガニック」製品でも

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト

 ところが、ワインなどの酒類については、実は有機JAS規格の対象外になっているのです。ワインを含む酒類については国税庁が管轄しており、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づく「酒類における有機の表示基準」が適用されているのです。

 この基準では、「原材料は、水や加工助剤を除いて、有機農産物、有機畜産物、有機加工食品、有機農産物加工酒類の重量割合が95%以上である」としていますが、使用できる添加物を数多く認めていて、その中に二酸化硫黄が入っているのです。

 したがって、二酸化硫黄を添加していても、前の原材料の条件を満たしていれば、そのワインは、「有機農産物加工酒類」ということで、「有機」や「オーガニック」の文字を表示できるのです。もちろん、この基準は国産のワインにも適用されます。

 たとえば、果汁100%ジュースに酸化防止剤として二酸化硫黄を使っていた場合、原材料がすべて有機の果物でも、「有機加工食品」として認証されることはないでしょう。

 それにもかかわらず、ワインは二酸化硫黄を添加していても、「有機」や「オーガニック」と表示できるというのは、大きな矛盾を感じます。これは、消費者に誤解を与えるものですし、ある意味では消費者を欺いているともいえます。

 ワインを飲むと頭痛を起こすという人が、「有機」や「オーガニック」という表示を見て無添加と思い込み、「頭痛を起こす心配はないだろう」と購入し、飲んだら頭痛を起こしたというケースがあるかもしれません。

 酒類は国税庁、一般加工食品は農水省や厚労省が管轄しているため、こうした二重基準といえるものができたのでしょう。

 しかし、消費者から見れば、加工食品も酒類も同じく飲食品であって、「有機」や「オーガニック」と表示されていながら、内容が違うのでは混乱を生じます。政府には、速やかに消費者が混乱や誤解を生じないような制度にしてもらいたいものです。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

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