「オールインワンの化粧水だけでは保湿が不十分」「肌の活性化のためにスキンケアアイテムはこまめに変えるべき」など、世間には明確なエビデンスがない美容情報が氾濫している。そこで今回は、科学的な視点で化粧品を評価するビューティサイエンティストで化粧品開発コンサルタントの岡部美代治氏に、スキンケアアイテムの間違った選び方・使い方を指摘してもらった。
配合されている成分だけで選ぶのは間違い
スキンケアアイテムを選ぶとき、肌への効果、テクスチャー、値段など、人によって重んじるポイントはさまざまあるが、化粧品に含まれる成分を決め手としている人も多いのではないだろうか。
「化粧品にとって配合されている成分はとても重要ですが、それだけで選んでいると本当に効果的なアイテムに出会えないことがあります」(岡部氏、以下同)
岡部氏はまず、化粧品の働きについて説明する。
「化粧水や乳液などの化粧品は基礎化粧品と呼ばれ、肌の手入れに使われます。つまり基本的なスキンケアをすることで『肌の健康状態を維持する』『不安定な肌を健やかな状態に整える』『肌の保護力を高める』といった効果が得られるのです」
ファンデーションや口紅といったメーキャップ化粧品が、肌の質感や色味を変えて顔を彩るのに対し、基礎化粧品は肌そのものを健康にするアイテムというわけだ。こう聞くと、肌に良い成分が配合されている化粧品を選ぶことは有効な気がするが、なぜ成分を重視してはいけないのだろうか。
「肌の状態や、抱える悩みは、人それぞれ違います。どんなに良いといわれる成分でも、その人の肌に合っていなければ、どれだけ補給しても効果は低いのです。今は化粧品の成分も簡単に調べられますし、口コミが見られるサイトなども多く存在するので、情報を手に入れやすい時代ですが、文字情報だけでは自分の肌に本当に効果的なアイテムかどうかを見極めるのは難しいと思います」
自分の肌の状態や相性も考えず、評判の高い成分だからという理由で選んでは、宝の持ち腐れになってしまうこともあるのだ。
さらに岡部氏は、「使うアイテムをこまめに変える人も、化粧品の恩恵を十分に受けられていない可能性があります」と指摘する。
「『肌を活性化させるために、使うアイテムはこまめに変える』という人は結構いますが、自分の肌に合っているものなら継続して使うことをお勧めします。化粧品が持つ美白効果やエイジング効果などは、長期間同じものを使い続けることで効果が出てくるからです」