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かまいたち・濱家、痛風で悲愴な松葉杖姿…治療薬飲まずに漢方

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
かまいたち・濱家、痛風で悲愴な松葉杖姿
濱家隆一Instagram「hamaitachi」より

 お笑いコンビ・かまいたち濱家隆一が、6月8日に放送された『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系)に松葉杖姿で登場したことが話題になっている。濱家は、持病の痛風を発症したことを明かし、さらに「結構長いスパンで闘ってまして。28歳の時に出て、もう10年ぐらい闘ってる」と説明した。

 しかも、痛風治療薬を飲まずに代わりに漢方薬を20錠ほど飲んでいると関係者が明かし、SNSでは心配する声も上がっている。実は、夏場は痛風発作が起きやすい季節でもあり、痛風の持病がある人は注意が必要である。池袋消化器内科・泌尿器クリニック 理事長の伊勢呂哲也医師に、痛風について聞いた。

「痛風発作とは、ある日突然に関節が腫れ激痛が起きることをいいます。痛風発作の約7割は、足の親指の付け根(関節部分)に現れますが、アキレス腱、足の甲、かかと、くるぶし、足の関節、膝、肘、手首、指などの関節や耳介(耳殻)などに発症することもあります」

 濱家が松葉杖を使用していたことからもわかるように、痛風発作は歩行が困難となるほどの痛みを伴う。

「『風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走る』というのが痛風の名前の由来です。その名前通り、発作の痛みは歩けないほどの激痛ですが、発作は24時間以内にピークに達し、通常10日~2週間で完全に消失します。濱家さんが松葉杖を使用していたことから、発症して間もなかったのではないかと思います」

 濱家が専門医を受診しているかは不明であるが、痛風発作を発症した場合には医療機関を受診してほしいという。

「痛風発作は繰り返すことが多いため、痛風発作後には治療を継続することが大切です。お近くの内科を受診してください」

自己判断での漢方による治療には疑問

 濱家は漢方薬を服用しているというが、これは痛風の標準治療ではないという。

「濱家さんがどういった漢方を服用しているかわかりかねますが、漢方による痛風治療は標準的な治療ではありません。医療機関で血液検査を行い、尿酸値が8.0mg/dL以上を治療開始基準とし、食事療法や内服薬による治療が必要となります」

 尿酸値が高いまま放置すると、さまざまな合併症が起き、大きな健康障害につながることもある。

「尿酸値が高いまま生活を続けると、痛風発作を繰り返すだけでなく、高尿酸血症は糖尿病や脂質異常症、高血圧など、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあります。また、体内に尿酸が増えると、関節だけでなく腎臓や尿路に結晶化した尿酸が蓄積することがあり、慢性腎不全や尿路結石を引き起こすこともあります」

 濱家は痛風発作を繰り返し発症しているということから、普段から尿酸値が高い傾向にあると考えられ、適正な治療を受けるべきだろう。

 汗をかく夏は、脱水によって体内に尿酸が蓄積しやすくなる季節でもある。普段から尿酸値が高めと指摘されている人は、尿酸の排出を促すよう十分な水分摂取を心がけ、関節に痛みを感じた際は速やかに医療機関を受診することをお勧めする。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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