4月も半ばを過ぎ、4月期の新連続テレビドラマの放送が続々とスタートするなか、稲森いずみ主演の深夜ドラマ『夫婦が壊れるとき』(日本テレビ系/毎週金曜深夜24時30分~)が「今期一番ヤバいドラマ」だとして密かに話題を呼んでいる。
今クールの連ドラのなかでは一番の注目作といえる、木村拓哉主演のフジテレビ系「月9」枠の『風間公親-教場0-』は10日にスタート。過去にスペシャルドラマも放送されており、今回初の連ドラ化ということで話題を呼んでいる作品。第1話は世帯平均視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2話(17日)は10.7%と、2ケタ台をキープ中だ。
18日にはテレビ朝日系「火曜9時」枠で『unknown』(高畑充希と田中圭のダブル主演)、TBS系「火曜ドラマ」枠で『王様に捧ぐ薬指』(橋本環奈主演)がそれぞれ放送を開始。『王様に捧ぐ薬指』は橋本とHey! Say! JUMP・山田涼介の共演も話題だが、初回7.5%と物足りない滑り出しに。一方で『unknown』は、2018年4月期にやはりテレ朝で放送されていた大ヒット作『おっさんずラブ』の制作陣が再集結していることもPRしていたが、初回7.6%とやはり微妙。火曜ドラマ対決はテレ朝がTBSを上回る発進となったものの、わずかな差とあって、すぐ逆転する可能性もある。
日本テレビ系では、「日曜ドラマ」枠の『だが、情熱はある』が、King&Prince・高橋海人とSixTONES・森本慎太郎のダブル主演ということで安泰かと思いきや、第1話(9日)と第2話(16日)は同率の4.7%と心配な状況。今後の伸びに期待したいところだが、各局すべての新ドラマが出揃った頃、どうなっていることか。
「続きが気になるドラマ」
一方、そんな日テレ系ドラマのなかで密かに注目されているのが『夫婦が壊れるとき』だ。今期から新設された「金曜ドラマDEEP」枠、いわゆる深夜枠の連ドラで、原作はイギリスで15年と17年に放送された『女医フォスター 夫の情事、私の決断(Doctor Foster)』というドラマシリーズ。20年に韓国で『夫婦の世界』としてリメイクされ、このたび日本版として『夫婦が壊れるとき』が始まったのだ。
同ドラマの主人公は内科医・真壁陽子(稲森)。仕事も私生活も順風満帆の彼女だったが、映画監督兼映像制作会社の社長である夫・昂太(吉沢悠)に女性の影を感じ始めたのと同時に、信頼していた友人や同僚、隣人たちの裏切りも知る。そんな陽子の復讐を描いていく作品だ。
視聴者からの反応は上々な模様で、民放公式テレビ配信サービス「TVer」にて、初回が全ドラマのなかでアクセスランキング1位を獲得したことも。深夜ドラマだけにリアルタイム視聴は断念している層もいるとみられ、配信のほうで今後も話題が広がっていくことに期待できる。視聴者からは
「不倫ドラマっていうより復讐劇なんだね、なかなか面白い」
「見どころは復讐方法」
「続きが気になるドラマ」
「胸がザワつくけどスッキリしたいから、最後まで見逃せない」
といった声が寄せられている。
「韓国ドラマとしては『夫婦の世界』のほかにも、高校時代にいじめを受けた女性が教師になって復讐計画を実行するというNetflixの『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』が日本でも大ヒット中。前クールの連ドラで草なぎ剛主演の『罠の戦争』(フジ系)も人気だった。『夫婦が壊れるとき』は不倫モノではあるが、どちらかといえば復讐劇をメインに据えていく様子。理由はよくわからないが、復讐モノはここ数年のトレンドになりつつある」(テレビ局関係者)
不倫された妻のリアル
不倫に走った夫に対し、その妻が復讐的な行動に出るケースは、ドラマの世界だけではなく、現実でも少なくないと、夫婦問題研究家でNPO日本家族問題相談連盟理事長の岡野あつこ氏はいう。
「誰もが羨むほどの結婚。妻を愛し家庭を大切にする夫。ステータスのある仕事をもち、夫からも愛されていることに慢心してしまうほどの結婚。そんななかに忍び寄る夫の不倫の影。しかし愛されてると信じきってる妻にとっては、すべてが疑惑にすぎず、疑惑は否定によって元の愛され妻に戻るのです。しかし、ひとたび疑いが生まれると、オセロのようにいろいろなことの辻褄が合ってきてしまいます。そして疑惑が真実に変わる瞬間から、夫の裏切りに対して許せないという気持ちとなり、愛されていたという自信が深ければ深いほど憎しみに変わってしまうのです。
煮えたぎる怒りから殺意さえ覚える人はもちろんいます。多くの相談者の方から、『夫が憎いから殺してやりたい』『死んでもらいたい』という声を聞いたこともあります。ただ、大半の方は理性が働き想像の世界だけで終わります。妻がとる復讐手段としては、愛人宅やその実家に乗り込んだり、夫の職場の上司や夫の実家に事実を暴露しに行くといったケースが多く、なかには刃物を持ち出して、本気じゃないにしても、脅かしたり、自分がそれで死ぬと言う人もいます」
『夫婦が壊れるとき』も決して空想の物語ではないと認識してみれば、また違った感想を抱くかもしれない。
(文=Business Journal編集部、協力=岡野あつこ/夫婦問題研究家)