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家賃500万円でも常に満室…ラ・トゥール代官山の秘密、別世界の設計・サービス

文=A4studio/協力=山下和之/住宅ジャーナリスト
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住友不動産「ラ・トゥール」のHPより

 2010年に竣工し、大物芸能人御用達の物件として知る人ぞ知る超高級マンション「ラ・トゥール代官山」。東京都渋谷区の代官山エリアにあり、富裕層や芸能人を中心に人気を集めている同物件は、最も高い部屋の月額家賃が500万円を超えるといわれている。そこで今回は、業界事情に詳しい住宅ジャーナリストの山下和之氏に、ラ・トゥール代官山の魅力や高額な家賃の秘密などを解説してもらった。

ゲートから60mほどある庭園を歩いてようやく建物にたどり着く

 まず、その戸数や建物のスペックを確認してみよう。

「『ラ・トゥール』は住友不動産が運営している超高級賃貸マンションシリーズで、東京、大阪、北海道に展開していますが、展開しているエリアのメインは新宿や渋谷など都心の一等地です。ラ・トゥールの名を冠しているマンションは23年4月現在、28棟ありますが、そのなかでもラ・トゥール代官山はシリーズのフラッグシップモデルであり、別格の存在となっているのです。ラ・トゥールのなかでも最大の敷地面積である1万5000平方メートル、平均住戸面積240平方メートルを誇り、地上7階、地下1階建てで賃室戸数は139戸となっています。

 部屋の種類は『1R・1K』『1DK・1LDK』『2K・2DK・2LDK』『3LDK』『4LDK以上』で、高級家具や家電が備え付けられている部屋もあります。なかには、ベッドルームが4つあり、ゲストルームまである部屋もありますね」(山下氏)

 さらに驚くべき設計やサービスがあるという。

「建物にたどり着くには、まずゲートをくぐり、そこから60mくらい庭園を歩かなければなりません。そうしてようやくマンション1階の広々としたエントランスに到着するのです。私もオープン当初に取材で足を運んだことがありますが、まるで超高級ホテルを訪れたような印象で、ゲートをくぐると、別世界のような空気が漂っていたのを覚えています。

 そしてエントランスに着くと驚きのサービスを目にすることになります。それは専用のコンシェルジュによる出迎えサービスです。彼らは基本的に1階のエントランスに待機しており、住人が帰宅すると、まるで執事のように丁寧な出迎えや荷物運びなどを行ってくれます。また、住人以外の訪問者はこの時点で彼らに止められてしまいます。コンシェルジュが住人に連絡を取り、部屋に通していいという許可が出てはじめてその訪問者にセキュリティカードが手渡され、エレベーターホールへ案内されるのです。そのカードでエレベーターは作動しますが、指定された階にしか止まらない仕様になっています」(同)

徹底したセキュリティとコミュニティ維持ゆえの超高額家賃

 山下氏いわく、こうしたサービスが用意されている背景には、住人がどんな人たちなのかをあらかじめマンション側が想定しているからだという。

「同マンションの設計意図には、先述のような徹底したセキュリティ意識があります。日本に赴任してくる海外の大企業の重役やCEO向けに設計されていたマンションなのですが、近年は大物芸能人たちも住んでいるといわれています。こうした人たちにとって徹底したセキュリティというのは、パパラッチなどから自身のプライバシーを守る盾の役割もあるので、大金を払うに足る価値があるのです」(同)

 家賃は一説によれば最も高い部屋の家賃は月額500万円以上とも噂されているが、これは本当なのか。

「実は賃料は現在一般には公表されておらず、竣工時に公表されていた額から推測するほかないのですが、月の平均賃料は200万円から300万円台だといわれています。しかし、一番大きな500平方メートル台の部屋は、月の平均賃料500万円台だといわれているので、噂は事実といってもいいでしょう。現在の価格がどうなっているのか正確なところはわかりませんが、こうした超富裕層向けの物件は、価格が高くなることはあれど低くなることはまずないので、今もこの価格帯から大きく変わっていないでしょうね」(同)

 ここまで高い賃料になる理由と、この額が妥当なのかも気になるところだ。

「高額になる理由は、前述の設備やサービスが一番大きな部分でしょう。そのほかの理由で言うと、ラ・トゥールというブランドの価値を下げたくないから、値段を高めに設定しているという側面もあるかもしれません。同マンションには、専用のパーティラウンジが用意されており、入居者同士で頻繁にパーティが行われています。ここは実質的に各界の富裕層向けのサロンのような役割も果たしており、ここでしか得られない情報というのも多いのです。こうしたコミュニティに属する資格の代わりとして、高額になっている部分もあるように思えます。

 そして、そういったさまざまな理由を踏まえると、価格は妥当といえるでしょう。ただ、そもそもの話ですが、ラ・トゥール代官山を借りる富裕層は、ここ以外にも邸宅をいくつも持っているような人が大半ですし、所属している企業や事務所が経費で支払うので、正直『割安か割高か』で部屋選びをしている人は少ないと思います。値段よりも『どんなサービスと環境を提供してくれるのか』という部分が、彼らにとっては重要ということです」(同)

超高額部屋しかないにもかかわらず空き部屋がほとんど出ない

 同マンションは、芸能人や富裕層の間ではその名が知られた存在ということだが、一般層のなかでの知名度は低い印象もある。これにはどういった背景があるのか。

「これについてもコミュニティづくりの一環でしょう。基本的には界隈の口コミでその存在が知られていくので、わざわざ一般向けに大々的な宣伝をする必要がないのです。もちろん公式サイトから見学予約をすることはできますが、基本的には高級賃貸・高級住宅仲介を中心とする総合不動産会社のケン・コーポレーションといった、富裕層御用達の窓口を通して入居に際してのやりとりをするのが通例だと思います」(同)

 こうした超高級マンションの需要が今後も高まっていくのか、またそうした潮流のなかでラ・トゥール代官山はどのような立ち位置になっていくのか。

「ラ・トゥールシリーズはサービスへの満足感も高いようで、空き部屋がほとんどでないことでも知られているため、居住を希望する富裕層はどんどん増えています。今、日本は富裕層と低所得者層の格差が広がっており、富裕層の数は増加傾向にありますので、今後も需要には事欠かないでしょう。実際、住友不動産は『ラ・トゥール新宿ファースト』『ラ・トゥール目白御留山』『ラ・トゥール大阪梅田』という新築物件を次々と打ち出しており、入居予約が殺到している状況のようです」(同)

 まさに別世界とでもいうべきその圧巻の存在感は、今後も富裕層の間で愛されていくのだろう。

(文=A4studio/協力=山下和之/住宅ジャーナリスト)

山下和之/住宅ジャーナリスト

山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。日刊ゲンダイ編集で、山下が執筆した講談社ムック『はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド』が2021年5月11日に発売された。


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