首都圏には5つの政令指定都市がありますが、なかで一番新しいのが神奈川県の相模原市です。新しいだけではなく、マンション価格も安いのが魅力。しかも、現在はリニア中央新幹線の新駅の工事が進められており、開業すれば、品川駅まで10分で通えるようになります。将来性を買うなら見逃せない都市といっていいのではないでしょうか。
東京・新宿まで1時間以内の通勤・通学圏
神奈川県相模原市。2010年に政令指定都市となり、現在の人口は約72万人。神奈川県の北部に位置し、緑区、中央区、南区の3区で構成されます。鉄道・道路などの地理上、神奈川県の各都市とのつながりよりは、東京都の町田市や八王子市などとのつながりが強く、東京都に通勤・通学する人が多いため、市民はしばしば「神奈川都民」といわれます。
交通アクセスをみると、東京の新宿駅までは相模大野駅から小田急小田原線で35分から40分程度で、橋本駅からは京王相模原線で40分から50分程度の通勤圏です。相模大野駅、橋本駅ともに駅周辺には大規模商業施設が揃い、公共施設も充実しています。相模大野は相模原市南部の、橋本は北部の商業・交通の拠点となっており、このように同一市内で複数の都市核が存在するのは、静岡市、福岡県北九州市、熊本市など数少ない存在といっていいでしょう。
中古マンションなら2000万円台で手に入る
交通アクセスに恵まれ、商業施設や公共施設も揃っているので、市内ではマンション開発も積極的に展開され、駅周辺では超高層マンションも増えています。そのマンション価格が首都圏の他の政令指定都市に比べて安いのが相模原市の魅力です。図表1は、不動産情報サイトのアットホームによる、首都圏の政令指定都市の中古マンション平均価格ですが、他の都市に比べてかなり価格水準が低く、買いやすくなっているのがわかります。
神奈川県では、武蔵小杉のある川崎市が最も高く、平均4155万円。次いで住宅地としても人気の高い横浜市が3517万円です。最近は、大宮や浦和が住宅地として人気が高まっているさいたま市の平均価格も3579万円と、横浜市の平均を上回る水準です。それに対して、相模原市の平均は2757万円。千葉市の2480万円よりは高いのですが、首都圏の政令指定都市のマンションを3000万円以下、2000万円台半ばで購入できるのは大きな魅力ではないでしょうか。
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年収の低い若い世代でも購入が可能に
仮に金利1.5%、35年元利均等・ボーナス返済なしで、全額ローンを組んで購入するとすれば、川崎市の4155万円だと毎月返済額は12万7219円です。返済負担率(年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合)を、より安全なレベルとされる25%とした場合、611万円の年収が必要になります。それに対して、相模原市の2757万円であれば、毎月返済額は8万4415円です。やはり返済負担率を25%とした場合の必要な年収は405万円です。まだ、年収がさほど高くない若い世代でも、十分に購入が可能になってきそうです。実際、現在賃貸マンションなどに住んでいる人であれば、家賃負担が8万円以上という人も少なくないはずです。
相模原市であれば、その家賃を住宅ローンに変えることで、マンションを取得できます。特に、若い世代に注目していただきたい都市といっていいでしょう。
27年度の開業に向けて工事進むリニア新幹線
相模原市のもうひとつの魅力が、2027年度開業予定のリニア中央新幹線が通り、神奈川県では唯一の新駅が設置される予定という点です。橋本駅に隣接して「(仮称)神奈川県駅」の工事が始まっており、地下30mにホームが設置されることになっていますが、写真にあるようにすでに20mほど掘り進められています。
2027年の開業予定は、静岡県の建設反対もあって、かなりずれこみそうな見込みですが、完成すればリニア中央新幹線の始発駅である品川駅と10分で結ばれます。品川県で乗り換えれば、東京都心のさまざまなエリアに30分程度で通えるようになるのではないでしょうか。
リニア中央新幹線は、東京・名古屋間を最短40分で結び、将来的には東京・大阪間も60分となり、三大都市間の時間距離が大幅に短縮され、ひとつの都市圏のようになります。品川駅から最初の駅となる相模原市の利便性も格段に向上します。
品川駅まで10分、運賃は2000円ほどの見込み
気になるのは運賃とダイヤ。JR東海では、いずれも未定としていますが、運賃については、関係者によると、「現在の東海道新幹線の新横浜・東京間の運賃が参考になるのではないか」としています。それが事実なら、2000円程度で通えるようになるわけで、毎日だと負担は大きいでしょうが、在宅ワークが中心の人であれば、月に1、2回の出社ですむでしょうから、交通費を負担してくれる会社が多いのではないでしょうか。何しろ、在宅勤務を推奨するため、通勤に飛行機を使ってもいいとする企業もあるほどですから、十分にあり得る話です。
反対方向の名古屋まではリニアの各駅停車で1時間ほどになります。東京への通勤・通学だけではなく、山梨、長野、名古屋方面へのビジネスや観光などにも、たいへん便利になります。
●リニア中央新幹線
(資料:JR東日本ホームページ)
https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/gallery/
●リニア中央新幹線神奈川県駅(仮称)の工事現場
すぐ身近に豊かな自然がある恵まれた環境
交通アクセスの飛躍的な向上が期待できる相模原市ですが、首都圏の政令指定都市のなかでは、最も自然環境に恵まれた都市といってもいいでしょう。市の西部にはダム湖の津久井湖や相模湖があり、キャンピングサイトも多く、陣馬相模湖自然公園、津久井湖城山公園など、緑の充実した公園も大きく点在します。相模湖は、日本初のダム湖で、遊覧船が就航しているほか、各種のボートの貸出もあって、ブラックバス釣りの名所としても知られるようになっています。
また、豊かな緑を活かして、多くのゴルフコースが設けられていて、若い人からファミリー、シニア世代までさまざまなレジャーを手軽に楽しめます。そんな自然を求めて、都心からあえてこの地に移転してくる若い世代も増えていますし、老後を豊かな自然のなかで過ごそうと年配の人たちのマイホーム購入も増えています。
10年先、20年先を見越して先物買い
現在でも東京・新宿まで1時間圏内の交通アクセスですが、リニア中央新幹線が開業すれば、交通アクセスは飛躍的に向上します。2027年の開業予定が、現実にはもう少し遅くなりそうですが、だからこそ、まだまだマンションを初めとする住宅価格が安いのではないでしょうか。
反対している静岡県の賛成を得られて、開業が確実になってくれば、それが地価や住宅価格に反映され、マンションや戸建住宅の価格が上がる可能性があります。先物買いをして、10年後、20年後の資産価値向上を期待するのであれば、相模原市に購入するのはいまのうちかもしれません。