三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスが共同で開発を進めている「三田ガーデンヒルズ」。近年では最注目のプロジェクトかもしれませんが、いよいよ2022年10月14日からレジデンシャルサロン(モデルルーム)での事前案内会がスタートしました。何が注目されているのか、その概要をおっかなびっくり、覗き見してみましょう。
『広尾ガーデンヒルズ』以来の「ガーデンヒルズ」
『三田ガーデンヒルズ』は、わが国を代表する不動産会社の三井不動産レジデンシャルと、三菱地所レジデンスが共同で開発を進めています。港区内最大規模といわれる2.5万平方メートルの敷地に、全1002戸を供給する一大プロジェクトです。『広尾ガーデンヒルズ』以来の「ガーデンヒルズ」ブランドで、2022年4月のオフィシャルサイト開設以来、大きな反響を集めてきましたが、いよいよ10月14日から、東京都港区の東京タワー近くの東京タワー通りに設けられた「レジデンシャルサロン」(モデルルーム)にて、完全予約制で事前案内会がスタートしたそうです。
三井不動産レジデンシャルでは、「経年劣化」ではなく「経年優化」を標榜していますが、『広尾ガーデンヒルズ』は、まさにその体現者といえそうです。その流れをくむのが 『三田ガーデンヒルズ』なのです。
次のヴィンテージマンションとなるのは間違いなし
「経年優化」とは、通常の物件は「経年劣化」して竣工から年月を減るほどに住みにくくなり、資産価値も低下していくものですが、「経年優化」というのは、住むほどに住まいへの愛着が高まり、価値が高まっていく住まいという意味で、『広尾ガーデンヒルズ』はその象徴といっていいでしょう。
『広尾ガーデンヒルズ』が竣工したのは1983年と、もう40年前のことですが、いまでも大変な人気で、たとえば88平方メートル台の3LDKが2億3000万円台で売りに出されています。『広尾ガーデンヒルズ』は、当時の住友不動産が中心となり、三井不動産、三菱地所、第一生命保険の4社の共同開発でしたが、今回は三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスという、不動産業界を代表する旧財閥系の2社による共同開発になります。
わが国を代表する2社による共同開発ですから、旧財閥系の沽券にかけても、生半可なものはつくれません。まさに、将来のヴィンテージマンションとなるのは必至です。
分譲マンションとして過去最高価格の住戸も
『三田ガーデンヒルズ』が建設されるのは、東京都港区三田一丁目、東京メトロ南北線・都営地下鉄大江戸線「麻布十番」駅から、徒歩5分の場所です。都営地下鉄三田線の「芝公園」駅も徒歩10分です。
敷地は2万5247平方メートルで、港区内最大規模。旧逓信省簡易保険局庁舎跡地に建てられます。由緒ある同庁舎を一部保存・再生し、写真にあるように格式あるファサード・デザインが採用され、歴史の継承と景観への配慮がなされています。建物は鉄筋コンクリート造の地上14階・地下2階建てで、総戸数は1002戸です。専有面積は29.34平方メートルから376.50平方メートルで、1Rから4LDKまで多彩なプランが用意されます。
販売開始は2023年2月ころ、竣工は2025年3月を予定しています。価格は未定ですが、周辺では、坪1000万円で取引される中古マンションが珍しくないですから、平均坪単価は1000万円を超えるのは間違いありません。業界関係者によると、「新築であり、立地や内容のアドバンテージを考えれば、坪1300万円でも売れるのではないか」という声もあるほどです。
そうなると、最も狭い10坪程度の部屋でも1億円を超えることになりますし、300平方メートル台の住居は、分譲マンションとしてはわが国で最も高い価格になるのではないかと予想されています。さて、いくらの値付けになるのでしょうか、2023年2月の販売開始が待たれます。
旧逓信省の歴史的建造物を保存・再生
それほどの価格になるのには理由があります。三井不動産レジデンシャルでは、その特長について、次の3点を挙げています。
1.THE GATED HERITAGE
港区最大敷地となる旧逓信省跡地に全1002戸からなる三井・三菱による象徴的プロジェクト
日本が誇れる邸宅を目指し、住む人だけの「護られたすまいとくらし」を提供。写真にあるように、緑のなかに溶け込む独特のファサードで、エントランスロビーも、超一流ホテルか、美術館、博物館のようなたたずまい
2.OLD CRAFT & NEW TECH
旧逓信省建造物を一部保存・再生した、立地に相応しい格式あるファサード・デザイン
継承すべき工芸と最先端の素材や技術を組み合わせた空間デザインにより、多様なライスタイルを包む空間を創出
カーボンニュートラルにも対応する
1.SUSTAINABLE LIFE
安全・安心・快適の持続を目指し、変化するライフスタイルに応じたソリューションを提供
カーボンニュートラル×レジエンス、保存・再生やリサイクルなどの持続可能性に加え、約3000平方メートルの施設空間を計画
帝国ホテルと提携したコンシェルジュサービス、LOCONによるつくし会幼児教室・エデュケーションサービスの運営、有名レストラン等の食事が有期で入れ替わるキュレーションレストランなどを提供
ポーターからドアマン、バトラーまで配置
そのなかで、帝国ホテルとの提携による管理サービスの内容をみると、次のようになっています。マンションの玄関には、帝国ホテルで鍛えられたポーター、ドアマンが立って居住者や訪問者を迎えてくれます。慣れれば、名前を呼んで迎えてくれるかもしれません。写真にあるロビーのゆとりとともに、住む人のプライドを満足させるはずです。またコンシェルジュはもとより、バトラーが駐在して居住者のこまかな面倒をみてくれますが、バーカウンターには、やはり帝国ホテルのバーテンダーがいて、極上のサービスを提供してくれます。
隣接して、三井グループの迎賓館である三井倶楽部があり、その庭の素晴らしさは内外に知られていますが、この『三田ガーデンヒルズ』でも、三井倶楽部のガーデナーによって、ガーデニングが実施されます。
ホテルか美術館のようなロビーイメージ
充実のエデュケーションサービスを提供
さらに、居住者向けのウェルネスとしては、フィットネスルーム、プール、ゴルフレンジ、サウナや岩盤浴、酸素カプセルルームを設置するほか、中庭には散策やヨガ・ストレッチなどが可能な空間も用意されます。感染予防対策としては非接触型のオートロック、エレベーター、ゴミ置き場の自動ドアなどが採用されています。
このほか、教育面についても充実しています。エデュケーション、フードキュレーションなどの大人向けの内容のほか、30年以上の実績を持つ「つくし会」の幼児教育を誘致し、子ども向けのエデュケーションサービスの運営を委託します。教育の一環として一人ひとりのニーズに合った専門のトレーナーによるフィットネスのレッスン、キッズ向けの環境教室の開催なども予定しているわけです。
まさに、あらゆるところに手が届く、充実の管理サービスです。立地や物件内容とあわせて、平均坪単価が1000万円を超えそうなのも、さもありなんといったところです。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)