だが、そんな街コンを「今はもう死んでいます」と語るのは、ナンパ関連の電子書籍を数多く執筆しているナンパ師作家・堺屋大地氏だ。
「今でもインターネットで『街コン』と検索をかければ、街コンのポータルサイトがヒットしますし、そのサイトを見れば東京都内を中心に、いまだに全国の都市で街コンは開催されていることがわかります。都内ならば、わずか1カ月間で数十件以上の街コンが開催されていることになっていますからね。ただ、その開催のほとんどは、一般的に多くの人が想像する『その街の複数の飲食店を自由に移動して飲み食いする』形態ではなくなっています。最近多いのが、会場は1店舗のみという立食形式の街コン。例えば、その飲食店の通常営業時に配置されているテーブルやイスは片付けられ、ビュッフェスタイルで食べ物を自由に取れるコーナーを設け、参加者の男性と女性それぞれ100人ずつが自由に交流できるというようなかたちになっています。要するにカジュアルな立食パーティーですが、こうしたただの婚活パーティーのようなものを街コンと呼んでしまうケースが多いのです」(堺屋氏)
確かに1店舗だけで開催されるイベントは、街コンとは言い難い。
「運営サイドは『街コン』とうたっていないケースもありますが、街コンポータルサイトに堂々と情報が掲載されているのは事実。一般のユーザーが本来の街コンを探そうとポータルサイトを利用したものの、見つかるのは1店舗開催のエセ街コンという可能性が非常に高いです。記載されているイベント情報をきちんと読めば1店舗開催であることは書いてありますが、街コンに初めて参加しようと思った人や、最近の街コン事情に詳しくない人が勘違いして参加してしまうというパターンも少なくありません」(同)
現在でも複数店舗を行き来できる定義通りの街コンが開催されることもあるが、その開催数はかなり減少している。また、複数店舗といっても実質2~3店舗のみというケースも多く、10軒以上の協賛店を自由に移動できた往時の街コンは今やほぼ皆無だという。
●有象無象の悪質業者が参入
2~3年前には至る街で催されるほど盛況だったにもかかわらず、なぜ「街コンの形骸化」が進んでいるのだろうか。
「おそらく街コンの絶頂期は12年。当時、東京・下高井戸で協賛店20軒以上、男女それぞれ300人という大規模な街コンが開催されたのを見て、これは街コンバブルがはじけるのも時間の問題かもしれないと感じました。下高井戸に限らず、12年頃は地元民やその沿線ユーザーぐらいしか聞きなじみのないような中規模な街でも、数多くの街コンが開催されていました。これほどまでに盛り上がってしまったために、ビジネスとしての旨味を嗅ぎ付けた有象無象の業者が街コンプロデュースに参入してきてしまった。街コンに何度か参加したことがある人なら、一度は悪質な運営会社、ノウハウ不足の運営会社のイベントに当たってしまったことがあると思います。圧倒的に男性参加者のほうが多くなっていたり、食べ放題のメニューが唐揚げとポテトだけだったり、飲み放題ではピッチャーにつがれたぬるいビールが出てきたり。こういった粗悪な運営の街コンに参加した人は、プチボッタクリに遭ったような感覚に陥りますし、もう二度と街コンには参加しないと思っても不思議ではありません」(同)