新型コロナウイルスの影響で「トイレットペーパーが不足する」というデマがSNSで広がり、実際に店頭で売り切れが続出した。また、「4月1日にからロックダウンに入る」という情報も流れた。インターネットをチェックしている人ならご存じとは思うが、いずれも誤った情報だ。
SNSやネットで流れてくる情報の中にはもっともらしいものが多々あり、本当のところが分からずに漠然とした不安は募る。膨大な情報が飛び交うなかで、デマやフェイクニュースに惑わされないためにどう対処すればいいのか。
緊急時こそ出回りやすい「フェイクニュース」見極めに必要な合言葉
『フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ』(笹原和俊著、化学同人刊)では、「フェイクニュースはいかにして拡散するのか」を計算社会科学という新しい分野から解説する。
フェイクニュースか否かを見極めるために、キモになるのは、(身も蓋もない言い方だが)結局のところ「メディアリテラシー」ということになる。メディアリテラシーとは、新聞やテレビ、インターネットなどのメディアから得られる情報の読解力のこと。これは、メディアに対する知識、物事を批判的に分析して最適な判断をする能力のクリティカルシンキング、デジタルツールを使いこなす能力のデジタルリテラシーなどからなる複合的なスキルだ。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究者らによる調査では、メディアリテラシーが高い人ほど、フェイクニュースに騙されにくいという結果も出ている。
では、この力をはぐくむために実際に何をすればいいのか。「フェイクニュース先進国」の欧米では、メディアリテラシー教育が盛んだという。ワシントンDCにあるジャーナリズムの博物館「ニュージアム」がフェイスブックのサポートを受けて開発した教材がある。それが「ESCAPE Junk News」(ジャンクニュースから逃げろ)と名付けられたこの教材。インターネットで目にする情報を評価する際に、以下の疑うべき6つの項目の英語の頭文字をとったもの。
・Evidence(証拠):その事実は確かかな?
・Source(情報源):誰がつくったのかな?つくった人は信頼できるかな?
・Context(文脈):全体像はどうなっている?
・Audience(読者):誰向けに書いてあるの?
・Purpose(目的):なぜこの記事がつくられたの?
・Execution(完成度):情報はどのように提示されている?
この6つを意識して情報を見ることで、フェイクニュースに騙される確率を減らすことができるという。とくに大切なのが、情報源を確認する習慣を身につけること。調べても出所が不明な情報は、鵜呑みにせず、疑いの目を持って対処するようにすべきなのだ。
SNSで拡散されたトイレットペーパー不足のように、情報源のわからない不確かな情報に自分ひとりが振り回されるならまだしも、自分こそがフェイクニュース拡散に加担してしまうことはぜひとも避けたいところ。とくに今は新型コロナウイルスの影響で、この先どうなるか不安も大きい時期。フェイクニュースが拡散されやすい時期でもある。
出来る限り自分でその情報は確かなものなのか?を見極める術を身につけておくべきだろう。
(T.N新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。