実際に海外配信を手掛ける伊コンテンツ配信大手・ボンジョルノは、約60カ国でゲームや音楽などのコンテンツ配信を行っており、各国のニーズに合うコンテンツの傾向を把握しているという。同社を活用することで、日本の作品を各国の習慣に配慮して翻訳するなどといった調整も行う。同社は通信事業者経由で課金・集金したり、利用者がクレジットカードを使って決済するシステムなどを持つ。
グーグルやアップルが運営する各配信サイト内のコンテンツは、各社独自のOSを使った端末しか利用できない。ボンジョルノはすでに「HTML」と呼ばれるウェブ標準言語を使用して開発したアプリの配信サイトを立ち上げており、スマホのOSがアンドロイドでもiOSでも利用できる。
ドコモは、グーグルやアップルとは異なるかたちで、コンテンツの世界配信網を構築することを狙っている。ドコモは、韓国サムスン電子と米インテルが主導する新スマホ用OS・TIZEN(タイゼン)の開発に参画しており、TIZEN向けにもコンテンツを供給する見通し。 コンテンツ量では、グーグルとアップルが勝るが、ドコモは、両OSで使えるコンテンツを増やすことで、使い勝手の面で差別化できると考えている。
配信は、日本文化への関心が高いフランスやブラジルなどから開始される見込み。アニメとゲームの配信をきっかけに、今後は映画やドラマなどの提供も検討するという。
ドコモはすでに国内では、スマホ向けにアニメやゲームなどを販売する電子商取引サイト「dマーケット」を運営している。しかし同社は、今後国内のスマホ販売が頭打ちになり、メインの収益源である通信収入が伸び悩むと予想しており、海外向けコンテンツ配信などが、新たな収益源として成長していくことに期待している。
世界全体の携帯電話向けのアプリ販売額は、16年には12年比で5倍の約740億ドル(約6兆8000億円)に増えると予想されており(調査会社・米ガートナーによる)、ドコモも、2015年度に同事業の海外売上高で、11年度比20倍の2000億円を目標としている。
(文=編集部)