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過激化する「インスタ映え競争」の闇と光…アイス持って自撮り→食べずに大量投棄事件も

文=森江利子/清談社
過激化する「インスタ映え競争」の闇と光…アイス持って自撮り→食べずに大量投棄事件もの画像1ナイトプールの様子

 この夏、20~30代の女子たちの間で「ナイトプール」が大流行したことをご存じだろうか。

 彼女たちの目的は、“インスタ”こと写真共有アプリのインスタグラムへの投稿だ。ライトアップされたナイトプールは、昼のプールよりも“インスタ映え”する。そのため、各地のナイトプールが撮影会場さながらの盛況を見せたのだ。

 一方、そんなインスタ女子に対して「どこに行ってもスマホで写真撮ってばかりでみっともない」「インスタのために必死になりすぎ」などと批判的な見方があるのも事実。先日には、インスタありきの迷惑行為の写真を投稿したツイートが炎上する騒ぎも起きた。

 はたして、インスタ映えブームはどこに向かおうとしているのか。

「いいね!」獲得に全力を注ぐインスタ女子たち

 まず、最近のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)事情を整理しておこう。

「フェイスブックと違い、インスタは10代後半から30代女性のアクティブユーザがほかのSNSに比べて圧倒的に多く、そこでは独自のカルチャーが生まれています」

 そう話すのは、「SNS映え」する投稿を分析し、SNS映えスポットを紹介する観光メディアSNAPLACE(スナップレイス)代表の椛島恵里香さん。

「同じSNSでも、フェイスブックは家族や会社の上司など幅広い世代が利用するため、より一般性のある写真が好まれます。逆に、インスタではフォトジェニックなものや、おもちゃ箱をひっくり返したようなかわいい写真に反応が集まりやすい。東京の観光スポットの写真にたとえれば、フェイスブックは東京タワー、インスタは原宿のカフェのカラフルなスイーツといったところでしょうか」(椛島さん)

 たとえば、原宿の「KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKU」というカフェは、きゃりーぱみゅぱみゅを彷彿とさせるデコラティブな内装や過剰なほどカラフルに配色されたスイーツがインスタ映えするため、インスタ女子に大人気となっている。

 こうしたスポットのひとつとして、今夏にブームとなったのがナイトプールだ。

「高級ホテルのナイトプールは数年前からありましたが、この夏はSNSブームと相まって“インスタ映えする空間”として注目を集めました。よく、若い女子たちが憧れる海外セレブが高級リゾート地での自撮り写真をインスタにアップしますよね。ナイトプールなら、そうした“非日常”を演出する写真が手軽に撮れるため、インスタ女子の間で一大ブームとなったんです」(同)

 そもそも、「お互いをほめ合う」「人に『カワイイ』と言われたい」「うらやましいと思われたい」といった女子たちのコミュニケーションは、リアルな世界でも行われていた。その舞台が、現在はインスタに移行したわけだ。

「インスタグラムは自分のプロフィール下に写真が並びますが、それは一種の自己表現の場でもあります。つまり、投稿する写真の一枚一枚が自分の目指すアカウントの世界観にマッチするかを重視します。そんなふうにインスタを上手に使いこなしてオシャレな写真を載せる方は、多くのコメントや『いいね!』を獲得することも多く、憧れの存在になり得ます。そんなインスタグラムで地位を築き上げた人は、リアルな生活でも一目置かれる存在になりますよね」(同)

アイスクリームの大量投棄がネットで大炎上

 問題は、インスタ映えする写真を撮ろうとするあまり、その行動がエスカレートしていることだろう。

 たとえば、先日にはこんなことがあった。あるツイッターユーザーが「友達と大須のかわいいアイス食べたんだけどみんなインスタ写真撮る目的だからかほとんど捨てられていてインスタの闇を感じた」と写真付きでツイートしたのだ。それによると、色とりどりのアイスクリームのコーンがほとんど手付かずのまま無残にゴミ箱に捨てられている。

 この投稿はあっという間にインターネット上で拡散されて炎上。「食べ物を粗末にするなんて許せない」「インスタグラムの闇を見た」などとインスタ女子に対する非難の声があふれ返り、インスタ映えを揶揄する「インスタ蝿」という声も上がった。

 しかし、椛島さんは「彼女たちの行為に水を差すのはナンセンス」と語る。

「もちろん、マナー違反や一部のエスカレートした迷惑行為は正されるべきでしょう。しかし、それはあくまでも一部にすぎません。最近は内容や味だけではなく見た目を重視した“インスタ映え”する商品を企画し始めている企業も出てきています。その中で、“インスタ映え”だけを追求した商品を企画する企業があっても不思議ではありません。」(同)

 つまり、マナー違反や迷惑な行為自体は許されないものだが、食べることよりも見た目を重視した商品を提供している企業にとっては、それはマナー違反や迷惑行為といえるのか? ということである。

インスタ女子と企業がつくる「インスタ経済圏」

「そもそも、今やインスタ映えは若者をターゲットにした商品に欠かせない要素です。『若者の◯◯離れ』といわれ、彼らがあまりお金を使わなくなった現在、そんな若者がお金を使い始めるきっかけである『インスタ映え消費』は無視できません。個人消費が増えることは、日本経済にとってもプラスのはずです」(同)

 インスタのフォロワー数が多く影響力が高いユーザーは「インスタグラマー」と呼ばれ、企業や商品のプロモーションを請け負う人も登場している。インスタ女子、そして彼女たちを利用する企業は「インスタ経済圏」を形成しているわけだ。

「問題行為がネット上で広まったことで、最近はインスタ映えを楽しむ女性たちを揶揄して“インスタ蝿”呼ばわりしているが、それはお門違い。趣味としてインスタを楽しむ人々を外野がとやかく言う必要はないと思います。最近では、迷惑な撮影行為を見かけると互いに注意したりマナー違反の写真にはコメントで指摘したりと、インスタ女子たちの間で自治行為も生まれているんですよ」(同)

 ちなみに、椛島さんによると、現在流行の兆しを見せているインスタ映えスポットは、夜景をバックに写真を撮れるルーフトップバーや、幻想的にライトアップされたビアガーデン。夏のナイトプールと同様に、引き続きリゾート風の“非日常感”がこの秋のトレンドになりそうだという。

「インスタ蝿」という非難の声もどこ吹く風で、夏が終わってもインスタ映えブームは続きそうだ。
(文=森江利子/清談社)

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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