夏モデルなど、最近の国内市場では5インチフルHD解像度ディスプレイがごく普通になり、「大画面高解像度」というものに覚醒したスマートフォン。たしかにWeb画面にしても、Twitter、FacebookのようなSNSにしても、画面が大きく解像度が高いほうが、その情報を見やすい。また、デジカメ画像なども大画面のほうが美しい画像が楽しめる。そして、ボディが大きければ高速で発熱量の大きいCPUや、大容量のバッテリを搭載しやすい。
現在、5インチ級のスマートフォンでは、クアルコムのSnapdragon 600というCPUを搭載していることが多いが、最近、よりパワフルなSnapdragon 800を搭載したスマートフォンがいくつかのメーカーから発表されている。ソニーのXperia Z Ultra、LG電子のG2などだ。そして、これらは5インチを超えたディスプレイを搭載する製品で、Xperia Z Ultraは6.44インチ、G2は5.2インチとなっている。
このSnapdragon 800は非常にパフォーマンスが高く、特にAV関連での活用が期待される。現在、主流のビデオ圧縮方式であるH.264の次世代圧縮形式であるH.265(HEVCとも呼ばれる)はH.264の約2倍圧縮率は高いものの、再生処理の負荷が高いのが難点だが、Snapdragon 800はH.265をソフトウェアでデコードすることも可能で、さらに4K解像度のビデオ再生のデモもCESなどで展示されていた。Snapdragon 800搭載のスマートフォンは、オーディオビデオ分野で今までにない処理が可能になるのだ。
搭載するAV機能にしても進化しており、G2はスマートフォンでは珍しくカメラ機能に光学式手ブレ補正機能を搭載している。これもボディサイズが大きく、余裕があるおかげだろう。また、オーディオ再生に関して、24bit/192kHzという音楽CDを超え、DVD Audioクオリティの高音質に対応している。
Xperia Z Ultraは前述のように6.44インチサイズでフルHDの液晶を搭載するが、この液晶がタダモノではない。最新のブラビアやVAIOなどと同じく、表示色域の広いトリルミナスディスプレイであり、色の再現性が高くなっており、従来のディスプレイでは表示しきれなかった色も表現することができるのだ。そして、そこに表示される映像は、ブラビアにも搭載される映像エンジンのモバイル版である映像エンジンX-Reality for mobileでハイクオリティに補正される。
G2やXperia Z UltraなどのSnapdragon 800を搭載し、5インチオーバーのディスプレイを搭載したスマートフォンたちは大画面なだけでなく、ディスプレイの表示クオリティでも進化していたり、高音質を楽しめたりするなど、今までのスマートフォンを超えてAV機能を高めている。単に大画面というだけでなく、内容的にもスーパースマートフォンともいえる一段上のものに進化しようとしているのだ。
これに対してツートップのXperia Aに見られるように、一般向けともいえる5インチ以下のサイズのスマートフォンも大きな市場を持っている。今後のスマートフォンは、一口にスマートフォンとはくくれないようなクラス分けが進みそうだ。iPhoneも次世代機種では上位機種と下位機種の2ラインアップが出るというウワサもあり、このクラス分化はスマートフォン全体の流れとなるのかもしれない。