今まで、一般家庭におけるパソコン(PC)は単体で使われるのが普通だった。インターネットを利用したり、ゲームをしたり、メールを送受信したり……しかし最近、状況が変わってきた。
常時携帯できるスマートフォン(スマホ)は、人々の生活により密着している。メールやネット利用をはじめ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で友人とコミュニケーションを取るなど、多くのことがスマホひとつでできてしまう。しかし、PCはスマホよりもはるかに高速な処理が可能だし、PCでなければ動作しないプログラムもまだ多くある。
そんな中、最近ではスマホやタブレットからPCにアクセスして、離れた場所にいてもPCを操作できる「リモートデスクトップ」と呼ばれるアプリが増えている。そして、その代表的なものがSplashtop 2(スプラッシュトップ)だ。ひと昔前から同様のプログラムは存在していたが、とても実用的とはいえない処理速度だったのに対して、このSplashtop 2は、競合製品と比較してもかなり高速に処理できる。
Splashtop 2は、同じWi-Fiに接続できる環境内で使用することはもちろん、インターネット回線を使って遠隔地からアクセスすることもできる。Wi-Fi利用ではもちろん無料だが、遠隔地からアクセスする場合でも月額数百円を課金すれば利用できる。Windows でもMacintoshでも、ほとんどのPCで利用できる。スマホ、タブレット側はAndroidは無料だが、iPhoneではダウンロードに500円かかるので要注意だ。
●スマホやタブレットと、PCの関係は変わりつつある
高速処理が可能になったとはいえ、アクションゲームのように瞬間的なレスポンスを必要とする場合、離れた場所から完全に同じフィーリングでプレイすることは難しい。しかし、例えば文書や表作成などの作業は、ほぼストレスなくこなすことができるレベルになっている。ベッドで横になりながら、タブレットやスマホからPCに保存した写真や動画を見ることもできてしまう。
つまり、今までPCの前にいなければできなかった多くのことを、リモートアクセスでこなすことが可能となったのだ。
今までは、PCはPC、スマホはスマホで使用範囲は独立していたが、リモートデスクトップが実用的になってきたことで、その関係が変わってきている。
さらに、従来、リモート操作しようとしても、PCの電源が入っていなければ、アクセスそのものができなかったが、インテルが提供している新技術「インテル・スマート・コネクト・テクノロジー」には、「リモートウェイクアップ」という機能がある。PCの休止時にアクセスを受けると、自動的に復帰させるというものだ。Splashtop 2は、この機能に対応しているため、PCが起動していなくても、いつでもどこからでもアクセスすることができる。
常時携帯して日常的なコミュニケーションに使われ、家ではAV機器や家電のリモコンなど、さまざまな用途に活用されているスマホやタブレットだが、今後はPCを利用するためのゲートウェイとしても使われるようになっていくのかもしれない。
(文=一条真人/ITライター)