現在家電量販店などで販売されている家庭用インクジェットプリンタの多くは、スマートフォン(スマホ)と連携する機能が搭載されている。11~12月に訪れる年賀状作成時期の需要に向けて、夏からプリンタメーカー各社の新製品が出始める。自宅のプリンタの動作状況をチェックし、もし買い替えるのならばスマホ連携機能にも注目してみてはいかがだろうか。
●基本は専用アプリとインターネット接続
スマホ対応のプリンタは、基本的に各社専用のアプリを用意している。アプリをスマホにインストールして、アプリ上で写真やドキュメントを選択し、Wi-Fiに接続してプリントするという手順が一般的だ。
また、プリンタ自体をインターネットに接続しておくことで、Googleクラウドプリントを活用して外出先からでもプリンタにデータを転送してプリントできる機種も多い。インターネット接続できる機種の多くは、プリンタ本体にメールアドレスを割り当て、そのアドレスに写真を添付したメールを送ればプリントしてくれる。
このあたりの機能は、この数年でほとんどの機種に搭載された。
●NFC対応スマホなら、かざすだけでOKのキヤノン
キヤノンの「PIXUS」シリーズは先に述べた基本機能をすべて備え、さらに近距離無線通信技術NFC搭載スマホであれば専用アプリ「PIXUS Print」をインストールして、プリンタ本体のNFCリーダー部分にスマホをかざすだけで写真がプリントできるという「PIXUSタッチ」機能もある。
またカメラメーカーらしく、同社製カメラで撮影した画像を無線でスマホに取り込み、スマホからプリンタにデータを送ってプリントする「CameraWindow v1.4」というアプリもある。
●スマホでクリエイティブに遊べるエプソン
エプソンもオリジナルアプリ「Epson iPrint」を通してスマホからの各種プリントに対応している。
特徴的なのは、ただスマホに保存してあるデータをプリントするだけではなく、「Epson Creative Print」というアプリを利用してオリジナルディスクレーベルや、Facebookへ投稿した写真に日付やコメント、QRコードまで添えたカードなどを作成できる。また、手書きした文字と写真を組み合わせたオリジナルデザインのプリントも可能だ。
●年賀状が丸ごとつくれるブラザー
ブラザーの「PRIVIO」は、新製品向けのアプリとして「Brother 年賀状プリント」を用意した。実際に利用できるのは11月からだが、スマホ上で年賀状作成作業を完結できるアプリだ。スマホで撮影した複数の写真をテンプレートに当てはめるだけで、簡単に年賀状がつくれる。さらに、宛名面もスマホの連絡先を引用して作成することが可能だ。家庭で最もプリンタが活躍する年賀状作成だが、それをパソコンなしで済ませてしまえるのだ。
●PCレスの作業をどこまで求めるか
最初に挙げた基本機能は、各社網羅している。あとはPCなしでどこまでの作業をするか、というところが差別化のポイントだ。
例えば写真をプリントすることがメインの目的で、写真を加工するなど手を加えることがなければ、基本機能を網羅しつつシンプルにまとめているヒューレット・パッカードのプリンタがお勧めだ。カメラと連携させたいならキヤノン、写真を加工して遊びたいならばエプソン、年賀状に注力するならブラザーが使いやすいだろう。
最近の写真プリントは、各社のプリンタともキレイになってきている。専門のプリントショップを利用せず、家庭で簡単に楽しみたいという程度ならば大きな不満を感じることは少ない。速度面でも、よほど大量印刷をするのでなければ差を感じづらくなってきている。
店頭でプリントサンプルをチェックして、自分好みの発色をある程度してくれることを確認したら、スマホとの連携具合で選ぶ、というのも一つの選択方法だ。
(文=エースラッシュ)