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もし、自治体が納税者にそんな数字を示したら、納得を得るのは難しいだろう。そこに、自治体が加わったベンチャー投資の官民ファンドが成立しにくい事情がある。例えば、国内VC最大手のジャフコも、自治体と組んだケースはほとんどない。
「異端の人」橋下徹だからこそできた?
そういった意味で、今回の大阪市のケースは新境地を開いたといえるだろう。それは、大阪市のトップが橋下徹という、自治体の首長としては型破りの「異端の人」だからこそ可能だったのかもしれない。
だが、異端なのは橋下市長だけではない。わが町を、全国から視察が殺到する地域活性化のモデル、地方創生のお手本的存在に押し上げた自治体の首長は、程度の差こそあれ、みんな「異端の人」である。
「地域活性化御三家」と呼ばれている長野県の小布施町、島根県の海士町、徳島県の神山町しかりだ。「準・御三家」の北海道の下川町とニセコ町、岩手県の紫波町、福井県鯖江市、香川県の直島町、徳島県の上勝町、大分県の由布市、佐賀県武雄市も、現在あるいは過去に「改革の鬼」のような異端の首長がいた。
例えば、武雄市長だった樋渡啓祐氏は在任中の12年9月、全国から起業志望者を集めようと、起業家を武雄市の任期付き常勤職員として採用すると発表して話題になった。結局、この構想は実現しなかったが、まさに異端の起業支援策だった。
「異端中の異端」橋下市長は12月で退任するが、5億円を出資したベンチャーファンドの存続期間は約10年間となっている。はたして、波瀾万丈だった橋下市政の「良き置き土産」になるだろうか?
(文=寺尾淳/ジャーナリスト)
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