中国政府幹部の子弟、デモ隊弾圧の香港警察“支援”集会…中国のネット上で公開リンチ
香港では6月から毎週土、日曜日を中心に、逃亡犯条例の改正案に反対する激しいデモが行われるなか、カナダのトロントでは8月18日、逆に親中国系団体が取り締まりを強化する香港警察を支援するデモや集会を開催。カナダの中国系住民が利用するネット掲示板では、高級車のフェラーリ数台に乗って、この集会に駆けつけるデモ参加者の動画がアップされ、中国内のネットユーザーから激しく批判されていたことが明らかになった。
これらの批判的な書き込みの中には「先頭の紅いフェラーリに乗っているのは山東省の韓寓群・省長の孫。その後ろには山東省の王仁元・副省長の孫や済南市の謝玉堂・党委書記と臨沂市の連承敏・党委書記の息子たちもいる」とデモ参加者の身元を暴露する情報もあった。
これらの情報は中国版ツィッター「微簿(ウェイボー)」でも伝えられ、「奴らは愛国者ではなく、自分たちの特権がなくなるのを心配しているだけだ」との意見も飛び出すなど、激しい反発を招いている。
トロントの集会現場に駆けつけたフェラーリは全部で9台、車から降りてきた参加者はいずれも20代前半とみられる男たちで、集会現場では他の数十人の中国人留学生らの先頭に立ち、明らかに留学生グループのリーダー格とわかる行動をしていた。
このような動画が「トロントの中国人留学生が高級車で集会に参加」とのタイトルを付けられてウェイボーで拡散すると、「腐敗幹部の家族だ」との書き込みが殺到。「車のナンバーや運転手の身元を調査しろ」などとの声が多く寄せられ、フェラーリの所有者が山東省の幹部の息子や孫であることが暴露された。
このため、ネット上では「フェラーリの所有者が汚職に関わっていないかを徹底的に捜査するよう求める」との声が多数寄せられたのに加えて、「フェラーリに乗っている若者の親が、集会で国旗を掲げて『愛国』と訴える留学生の親を搾取している。これは耐えられないほど、残酷なことだ」「奴らが、なぜ『愛国』なのかがわかった」「このような『愛国者』は愛国ではなく、真の漢奸(売国奴)だ」と強い憤りを露わにした。
このような批判が殺到したため、ネット検閲当局が急いで動画と関連投稿を削除するなど対応に追われており、幹部子弟の中国人留学生による軽率な行動が、中国政府批判に飛び火した格好だ。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)